「異世界召喚→最弱認定→追放→逆転」という構成はWeb小説で最も使い尽くされた型のひとつだ。本作はそれを百も承知で、隠さずに正面から使っている。
第1話はその型を丁寧に、テンポよくこなしている。悠真の「アイテム進化」が地味能力として蔑まれる場面、坂本の冷たい一言、高橋だけが少し気まずそうにする描写キャラの個性の出し方は手堅い。「誰が決めるんだ? 王か? 坂本か? それとも俺自身か?」という締めの台詞は王道ど真ん中だが、それが素直に気持ちいい。
ガチャ進化という「何が出るか分からない」システムは、予測不能な展開を作れる点で異能テンプレの中でも工夫がある設定だ。完結済み121話・43万字と長編として読み応えも十分で、「先が気になって一気読みしたい」タイプの読者に向いている。
作者自身も「改訂版を連載中」と書いていて、この旧版を踏まえてさらに磨き上げた版があるのも親切だ。王道が好きで、肩の力を抜いてサクサク読みたい人にどうぞ。