山﨑んちの狂犬
脳病院 転職斎
第1話
小学校5年生の時、
近所の親友・山﨑がラブラドールレトリバーを飼いだした。
まるでぬいぐるみのように可愛いワンコで、ベルと言う名前が付けられた。
俺達は自分の子供のようにベルを可愛がり、求められたら求められるままにビーフジャーキーを与えた。とにかく褒めて褒めて伸ばした。
ところがそれがまずかった。
ベルは、小学校6年生の頃には小学生くらいの背丈になり、好き放題に暴れ回る狂犬となった。
それを実感したのはある夏の日、
山﨑と魚取りでもしようと山﨑んちに向かった時のこと。
ぎゃああー殺されるー!と叫ぶ老婆の声がしたので、窓を覗いてみると、ベルがガルルル!と唸り声をあげて、山﨑のばあちゃんの首筋を噛んで振り回していた。
山﨑の爺ちゃんは箒でベルを叩きながら、辞めんかこのバカ犬!と叫んでいる。
ようやくベルが噛み付くのを辞めた時、カーペットは老婆の血に染まっていた。
それからしばらくして山崎は、ベルを保健所の訓練士に預けて調教し直すことにした。
ベルはそれからはおとなしくなったと聞いたが、
実際には一休みしていただけだった。
ある日、ベルは散歩中にリードを食いちぎり、そのまま軽トラに向かって突進した。
そして空中に吹き飛ばされて地面に叩き付けられてしまったが、かすり傷だけで済んで、また散歩中に人に噛み付いたりするのであった。
愛犬失格。
山﨑んちの狂犬 脳病院 転職斎 @wataruze
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