父の帰りは不規則で、今日も俺と母の二人で夕飯をとっていた。 上座には逆さで置かれるお椀が、出番を待っている。 1本の電話がかかってきた。母が電話に出てみると……・ 頓狂な話だ。 しかし、普段の食卓描写……「逆さに置かれたお椀」というのが良い。 哀愁がある。母と僕の姿が想像できる。 想像できるところから急に走り去ってしまうので、読者は「はぇー……」となるしかない。