第9話「拳聖の夢」〜The Dream of Glamorous Fists〜

闘技場の裏通路。


 戦いを終えた拳聖グラマラスは、汗に濡れた体を拭いながら、深い息をついていた。


「はぁ……。まだ勝ち進める。負けられない……絶対に」


 その横顔は強い決意に燃えていた。


 そこへパイタロウ一行が現れる。


「あなたが……拳聖グラマラスさん?」


 パイタロウが声をかける。


「そうだ。アンタが勇者パイタロウか」


 グラマラスは彼をまっすぐ見据え、力強く胸を張った。


「さっきの戦い……すごかった!」


 ミルクが瞳を輝かせて叫ぶ。


「おっぱいで相手を圧倒するなんて、超ステキだよ♡」


「フッ……揺れてこそ命だからな」


 グラマラスは拳を握り、胸を揺らす。


 マローネが冷静に切り出した。


「でも……なぜあなたはそこまで戦うの?」


 一瞬の沈黙。


 やがてグラマラスは拳を見つめ、静かに語り始めた。


「私は……帝国に胸を奪われた孤児や女たちを守りたいんだ。胸がなくても胸を張って生きられる場所を作りたい。そのために――“おっぱい孤児院”を建てる」


 一行は息を呑んだ。 


「孤児院……」


「帝国に胸を奪われ、笑われ、居場所をなくした子どもたちを……救いたいんだ」


 彼女の胸は誇らしく揺れていた。


「だから私は優勝する。優勝すれば永遠の栄誉だけじゃない。特別な賞品――伝説の秘宝至高のパイパイの在り処を示す地図が手に入る」


「《至高のパイパイ》……!」


 パイタロウの瞳が燃える。


「、、、それは俺たちも探している秘宝だ」


 こうして、拳聖グラマラスは勇者一行と運命的に出会った。


 まだ正式に仲間になるには試練が残されていたがその胸の誇りが、彼女を仲間へと導いていくのは間違いなかった。


NEXT→第10話「拳聖の決断」

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