第4話  八積君

 三、四年生が中心となるインカレ大会。私達の一、二年生でも粒ぞろいがいる為、だいぶ一、二年生も三、四年生のインカレに流れて行った。


 私は八積君がこれなら、ベンチ入りもできると思い、練習を見ながら、マネージャーの業務をしていた。

 

 そんな彼は相変わらず、コーチや監督に伝え、練習に励んでいた。

 他に入って来た1年生マネージャー達もだいぶ慣れて、私はマネージャー業務がだいぶ楽になった。


 先輩マネージャーから、八積君を見ている私に

 「よく八積君を見ているけど、関本さんは八積と付き合ってるの?」

 と言われ、慌てて否定した。だけど、先輩マネージャーが

 「カッコいい人はうちの部は多いけど、八積はギャップが良いよね!!普通の時は静かだけど、試合のここぞってスイッチが入った時、別人に見えるよ!!」


 先輩マネージャーも八積君をちゃんとみていた。

 私は嬉しかったけど、複雑だ。八積君のギャップに気づかれた私は今まで独り占めしていたような感覚だったけど、先輩マネージャーは狙っているのか不安だった。


 「大丈夫。八積君は関本さんのものになるよ!だから、八積君はフリーだから、早く付き合いなよ!」


 そう先輩は後押しをしてくれた。先輩はどうやら、三年生と付き合っているらしい。そう言われて、安堵した。


 でも、先輩の言う通り、私は八積君の事好きな感情なのかな?と思って来た。

 今まではギャップ萌えしただけかな?って思っていたけど、八積君がいなければ、女子マネージャーってやってなかった。そう考えると好きなのかもしれない。


 先輩マネージャーにその事を正直に言ったら、逃した獲物はデカいかもしれないから、お試しでもいいから付き合えば?とアドバイスしてもらったが、肝心の八積君は部活に普通に集中している。私には目が届いていない。と思った。


 夜に多美ちゃんに電話して、その事を伝えたら、多美ちゃんは告白はなかなか難しいとは思うけど、頑張って!!と言われた。

 しかも多美ちゃんはもう二年生の先輩と付き合っているらしい。

 私はえーっズルいと思いながら、話を聞いてくれる多美ちゃんに感謝した。


 そして、翌日、帰りの電車で八積君に声をかけて、思い切って告白をした。

 八積君は俺なんかでいいの?って言って来たので、お試しだけどいいかな?って話をして、私達も、無事カップルにはなれた。


 八積君は高校は部活一色で付き合った事がないらしい。そんな真面目な八積君にふさわしい彼女になるぞと私は意気込んで、一人暮らしの八積君にママにちゃんと八積君と付き合った事を相談して、お弁当を作る勉強をして、朝一に弁当を作り、八積君に弁当を渡した。


 周りは意外そうな顔をして、結城さんや青山さんも羨ましがっていたので、先越されないで、良かった。とは思う。

 肝心な八積君は照れていたが、実際付き合うと凄い尊重してくれる優しい人で私も八積君を尊重している。

 八積君はちゃんと目標があるから、私は足を引っ張らないように女子マネージャーとして、しっかり業務をこなした。


 先輩マネージャーにお礼を伝え、まだまだこれからという気持ちで八積君とお付き合いが始まった。

 特に変わらなくていい、私はそのままの八積君が好きだと確信はした。進展はまだこれからで今は今できる事をやるという考えで、私は八積君の事に徹した。


 先輩マネージャーも進展は急がない方が良いとアドバイスしてくれたし、何より多美ちゃんもせっかく付き合ったんだから、大切にすればおのずと進展するよ!って言ってくれた。


 そんな感じで私達のカップルはゆっくりと歩き出して行く。

 私は八積君の部活に励むその姿に惹かれたのだから、是非ともベンチ入りをして欲しい。


 そして、一、二年生の新人戦のメンバー発表で八積君は無事ベンチ入りを果たせた。

 そして、八積君は私に樹ちゃんのお陰でベンチ入りできた!と私にお礼を言ってくれた。

 私もその言葉に愛情を感じ、八積君が自分を大事にしてくれているという事を実感した。

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