お弁当

(SE 弁当箱を置く音)


「先輩、ど、どっち、座る?」


「あ、じゃあ、こっちで」


「うん」


「……」


「先輩、あの、お弁当、ど、どうぞ……!」


「あ、ありがとう」


「お茶も、こっち、置いておくね」


「あ、ありがとう」


「箸、どうぞ」


「あ、ありがとう」


「……」


「……」



(SE 箸を勢いよく取る音)



「いっ、いただきます!」


「お、おう」


「……」


「……」



き、気まずい……



「先輩、お、おいしい……?」


「ご、ごめんっ!まだ食べてなくて……今からすぐ食べるから!」


「ゆ、ゆっくりで、いいからっ!!」


「お、おう」


「……」


「い、いただきます」


「……」


「……」


「そんなに見られると、緊張するっていうか……」


「あ、ご、ごめん!」


「……」


「……」


「………ど、どう?」


「うん。すごくおいしいよ。この卵焼きとか」


「……………ありがと」


「……」


「……」


「このカニさんウィンナー、懐かしいな」


「……」


「……そ、そういえば、ナナの家はいつもタコさんじゃなくてカニさんだったな」


「……」


「あ、ごめん……なんか余計なことを言ったみたいで」


「き、気にしないでっ!!!!」


「び……びっくりした……」


「ご、ごめん」


「……」


「……」


「私、いつも、ウィンナーでタコさん作るとき、よく間違えて両側に切り込みいれちゃうから……」


「……」


「……」


「ナナは昔から、自分で弁当作ってたんだな」


「そ、そう、だよ!せ、先輩は?料理、してる?ちゃんと食べてる?そっちはご飯食べる所たくさんあるかもだけど……」


「まぁまぁ、かな」


「そ、そっか」





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