ジュラシックペット 〜欠陥ザウルスと僕が世界を変えた理由〜

ソコニ

第1話 初めてのペットザウルス


「はぁ?欠陥品?」


ペットショップの店員は露骨に嫌な顔をした。


「お客様、この個体は遺伝子エラーで正常に成長しません。処分予定でしたが…まあ、タダならお譲りしますよ」


俺、葉山ケイ(16歳)は、ケージの隅で震えている手のひらサイズの恐竜を見た。ヴェロキラプトルとネコの遺伝子をミックスした「ニャンラプトル」らしいが、片目が開かず、尻尾も曲がっている。


「こいつ、俺がもらう」


店員は鼻で笑った。「SNSフォロワー0確定ですね。今どきペットザウルスの価値は『映え』で決まるんですよ?」


知るか。俺はケージを開けた。小さな恐竜が俺の手に飛び込んできた。温かい。


「名前は…ゼロでいいか」


その日、俺のインスタに初めて投稿した写真。

『#欠陥ザウルス #フォロワー0からスタート #ゼロ』


まさか3時間後に10万いいねがつくなんて、誰も予想してなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る