ふたりぼっちの悪役令嬢
毛毛毛毛
謹慎初日は黒歴史
「本日、俺たちは正義を執行する!」
そう高らかに宣言したのは、誰もから愛されるカリスマ性を有した我が貴族学園の生徒会長だ。
「サヤちゃん、ようやくだよ。君はようやく解放されるの」
そう言ったのは、大人びた雰囲気を纏った高身長の女の子。
「僕たちがついているからね。安心してよ」
優しげな男の子もサヤに語りかける。
この三人は、学園でクラスでいじめをうけていたサヤを救ったいい奴らだ。
貧乏貴族の娘、地方の出でありながら優秀な成績を修めた彼女は、それが気に食わない一部の者に嫉妬の対象にされたのだ。何度話を聞いてもあのいじめっこたちの醜悪さには吐き気がする。
俺はサヤの幼なじみで大親友だ。でも、サヤが大変なとき、俺は父親の政務の影響で別のところに住んでいて、力になってやれなかった。
その代わりに、彼らがいた。サヤに手を差し伸べ、深い深い闇の中から引きずり出してくれた。
そして、今日を以てその救済が完結する。いじめの主犯を学園から追放する算段が整ったのだ。現在、空き教室には生徒会長らに賛同してくれる有志のクラスメイトが二十人ほど集まっている。
そう、これから語られるは、サヤに対する凄惨ないじめの話。そして、そこに颯爽と現れた三人の男女が、彼女を救ってくれるまでのお話。
……ではなく。
「みんな、俺から言いたいことがあるんだ」
俺は、サヤの友人だ。だからこそこの場で言わなきゃいけないことがある。
深呼吸を一回。
気持ちを落ち着かせてから、俺はその一言を発した。
「イマドキ『ざまぁ』とか、お前ら必死すぎでしょ(笑)」
そう、これから語られるは、クラスの復讐ムードをぶち壊した俺がふつうにハブられるお話である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます