第4話 暗闇の中で

雪菜と別れてから、俺の生活は急速に崩れていった。


 会社に行くのが怖い。

 朝、目覚ましが鳴っても体が動かない。

 頭の中で「行かなきゃ」と叫んでいるのに、布団が重石みたいにのしかかる。



崩れていく日常


 遅刻が増え、欠勤が続いた。

 「大丈夫か?」と上司に言われても、返事は曖昧だった。

 やがて「もう来なくていい」という一言で、俺の社会人生活は終わった。


 スーツを脱ぎ捨て、部屋にこもる日々。

 カーテンは閉め切ったまま、昼夜の区別もつかない。

 足をジタバタさせても何も起きない。それくらいしかやることがない。

 冷蔵庫の中は空っぽで、コンビニ弁当のゴミが床に積もっていく。


 スマホの通知は無視し、着信音を聞くだけで胸がざわついた。



心の底


 ベッドに横たわり、天井を見つめる。

 雪菜の「疲れた」という声が、何度も耳に蘇る。

 会社で浴びた「普通にやれよ」という怒声も、一緒に蘇る。


 ――俺は、何も出来ない人間だ。


 そう呟いたとき、涙も出なかった。

 ただ、胸の奥が空っぽで、何も感じられなかった。

 僕の喉の奥から出た声はもう声ですら無い。



微かな光


 ある夜、眠れずにスマホを開いた。

 そこには、大学時代に暇つぶしで作った一本の動画が残っていた。


 再生ボタンを押すと、拙い編集の中で、あの頃の自分が笑っていた。

 「作ってるときだけは、生きてる気がしたんだな……」


 その瞬間、心の奥に小さな光が灯った気がした。

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