城塞都市奪還へ

 ゼノス伯爵の城塞都市が陥落してから数日アストリア王国の王都に同盟国のルファール王国とムスガルニアそしてエルフ達の国エストア王国の大量の援軍が着いていた。謁見の間では各国の国王と重臣達がゼノス伯爵の城塞都市の戦いから生き残ったゼノス伯爵やカルザスやイドリア伯の報告を聞いていた。


 「進軍して来た魔物達よりも我ら4か国の軍勢の方が数で勝っているのだな?」


 「はい、しかし仮に魔物達を撃退したとしても南部の森へと進軍して魔王の元へと向かうのは困難であると思います。」


「ではどうするか考えはあるのですか?フラック候」


 「我がルファール王国の聖騎士の一人である少女は報告した通りグリフォンや魔獣達と心を通わせをある程度コントロールできるようです。そこで光の剣に選ばれたアナ殿下と精鋭の騎士達をグリフォンにのせ早期に敵の居城へと短期決戦に行って頂くのが一番かと」


 「貴公の考えは分かった、フラック候。アクレイス王とオルダン首長そしてノエリア女王はどう思われますか?」


 「アストリア王国の南部まで進軍して敵の注意をある程度引き付けておくのはどうでしょう?そうすればアナ殿下やグリフォンに乗った精鋭達が魔王の元へ向かいやすくなるでしょう。」


 「フラック候の提案とノエリア女王の意見に私は賛成です。」


 「ふむ、偉大なるアクレイス王はどう思われますか?」


 「私も異論はない。」


 「では近く、まずはゼノス伯爵の城塞都市を奪回しに軍を進めましょうぞ。」


 「軍の指揮は誰に?」


 「フラック候では?」


 「、、、、、、先の敗戦と私の騎士団はもはや存在しません、他の諸侯の方がよろしいかとおまわれます、、、、、」


 「いや、フラック候は30年前に終わった戦争で幾多の戦いに勝利してきた騎士団長。適任はフラック候しかいないと私は思いますが?」


 「いや、魔王軍と戦った経験がるのはエストア王国のエルフ達しかおりません。偉大なるアクレイス陛下は私以外の誰が適任と思われますか?私はその選ばれた方を微力ながらお手伝いしましょう。」


 「わがエルフ軍は長い平穏に生きて来た。そう言った意味で私はフラック候の方が適任だと思っている。各国の王そして重臣の方々よ異論はないか?」


その場にいた全員が納得する。


 「、、、、わかりました。このカルザス、連合軍の指揮をとらせて頂きます。」 


 「アナ殿下と共に魔王の元へと向かわす精鋭達は以下が致しましょう?」


 「精鋭には我がルファール王国の優秀な騎士と私の知る者達数名で編成させましょう。」


 そう言ったカルザスにアクレイスが聞いた。


 「貴公の知る者達とは?」


 「魔獣達を扱う聖騎士リアと金鷲獅子騎士団の副団長サーディス、エルフの魔術師カリアン殿、ハートランド王国の騎士エティアス卿、司祭のシャノアそしてハートランド王国の王女であるセシア殿下です。」 


 ハートランド王国の名を出すと各国の重臣達が騒めいた。


 「ハートランド王国といえば70年の戦争であのディオトール帝国と中心になって戦ったという勇猛な王族や騎士達の国の?」


 「何故、西の大陸のハートランド王国の王族や騎士が?」


 騒めく重臣達にアクレイスが手を上げて言う。


 「フラック候の推薦だ。今は西の王国の事はよい。我が娘であるアルナディアも精鋭部隊に加えて頂こう。アナ殿下とその者達を呼べるか?」


 「はい、その方々ならアナ殿下のご友人ということで城に来ております。只今呼んで参りましょう。誰かアナ達を連れてまいれ!」


 暫くすると従者がアナやサーディス達を連れてやって来る。


 アナ以外の全員はその場で膝間づくとリアも少し遅れて膝間づいた。


 「皆と参りました父上」


 「光の剣がお前を選ぶとはな、、、、驚いたが魔王が蘇った時に魔王を打ち倒し再び封印できるのは光の剣に選ばれたお前しかおらぬ。ゼノス伯爵の城塞都市への進軍に従軍して城塞都市を奪回して、お前の友人達とアルナディア殿下と共に魔王の居るという王都へとグリフォンに乗って向かい決着をつけるのだ。頼んだぞ我が娘よ、アナのご友人達もお願いいたすぞ。」


 「はい、父上!」

 

 「城塞都市への進軍は?」


 「七日後までに軍を編成してこの王都からむかいます。」


 「頼んだぞ。フラック候。」


 「ハッ!このカルザス命に代えてましても。」


 そしてカルザスは軍を編成しにその場を後にするとアナ達も騎士や兵士や魔術師達の野営地へと向かった。落ち込んでいるセシアにシャノアが言った。


 「セシア、まだルシアン君は生きているかもしれないよ!城塞都市の魔物達を倒したら城内を探そう?」


 「ああ、ギリア王国の人達も生かされていたからルシアンも生きているかもしれないぜ。」


 「セシアお姉ちゃん。元気だしてルシアンお兄ちゃんはきっと生きているよ!」


 「ええ、皆ありがとうございます。エティアス、カリアン、私もルシアン君を探しに行きます。二人とも付いて来てくれますね?」


 「分かりました、セシア様、エティアス貴方もいいですね?」


 「、、、、分かりました。このエティアス、ハートランド王国の近衛騎士としてお側に仕えます。そしてルシアン君を共に探すことを誓いましょう。」


 「私も今回から一緒にいくわよ。アルナディア殿下もよろしくね。」


 「セシア殿下、大切な方がいるのですね?この私も微力ながらお手伝い致します。」


 「ありがとうございます。アナ殿下、アルナディア殿下」

 

 それから七日後、カルザスを将軍とした同盟軍はゼノス伯爵の城塞都市の奪還に向かった。

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