かさぶた
金子よしふみ
第1話
一時に出したら、もう止められなくなってしまう。皮膚を擦ると、かさぶただけが違和感にでこっている。引っ掻けば血が出ることは一目瞭然。ティッシュに唾を付け、赤黒い血を拭く。すぐには止まらずにあふれ出るから、圧迫するようにティッシュに力をこめる。分かっている。分かっているのに、手が動く。指が動く。そのでこをいじらずにはいられなくなる。止めろ、これ以上は。確実に引っ掻いて出血になる。止めろ、止めろ。思う度に手が指がかさぶたに触れている。
とうとうかさぶたをはいでしまった。案の定、スライムみたいになった血。ティッシュで早速拭き取る。出血は止まらない。思った通りにティッシュで圧迫法をせずにはいられない。それをしばらく続けると出血は止まった。
かさぶたがまたできた。同じことを何度繰り返したら、分かると言うのだろう。また触ってしまっている。そうしているとやがてかさぶたはポロリといつの間にか剥がれ落ちていた。血はもう出ない。新しい皮膚になったのだ。
きっと心も同じなのだろう。
かさぶた 金子よしふみ @fmy-knk_03_21
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます