日本将棋連盟でも極一部しか知らないトップシークレット。実は将棋のルールを決めているのは、地下で密かに行われている将棋の駒たちによる会議だった!?
その会議は完全に惰性になってきていて、結局何百年も将棋のルールは変わらないまま。そんな折、不満を覚えた香車さんたちが一石を投じる。
自分たちの処遇は不当だ。初期位置も可動域も微妙で活躍できない。こんなことならボイコットする!と。
他の駒たちは慌てて止めに入るも、自分たちの方が活躍している自覚があるだけに反論できない。結果、香車が将棋界から消滅して――?
将棋の駒を擬人化するという着想がまず非常に面白いなと思いました。展開も次々と変化して読者を飽きさせません。見事なストーリーテリングです。
果たして将棋界に再び安寧は訪れるのでしょうか? 結末はご自身の目でお確かめください!
非常にユニークな発想で驚嘆いたしました。
将棋の駒が意思を持つという奇抜な設定にまず目を惹かれました。
しかも、なんとその世界の将棋は、意思を持つ駒たちの話し合いでルールが決まっているようです。
そんな世界で、ある日、香車が自身の待遇に不満を持ちます。
自身の立ち位置や可動域を変えろ、と王将に訴えてしまいます。
どうやら他の駒に比べて、あまり使われないことが不満なようです。
他の駒が宥めるも、香車の決意は揺らがず、棋戦をボイコットしてしまいます。
そしてそれ以降、香車がないのが当たり前の世界に……。
なくなったことで、将棋の戦い方は変わり、大打撃を受けた棋士からは「ここで香車があればなあ……」なんて声も。
そんなこんなで香車がいなくなって三ヶ月が過ぎたころ、藤倉名人という、「ああモデルになったのはあの人だな(笑)」っていうのが如実にわかる人が、香車に戻ってきてもらうために、ある提案をします。
それはいったいなんなのか……この先はあなたの目で確かめていただきたいです。
もし香車がいなくなったら……というシミュレーションがよくできていて、展開に説得力があったし、意思を持つ駒たちの会話も面白くて、くすっと笑ってしまいました。
筆者の将棋への愛がひしひしと伝わってきました。
着想が斬新なだけでなく、そのアイデアをうまく扱っていて、非常にクオリティの高い作品でした。超おすすめです!