心の弱さ
鎌ヶ谷君に助けられてから時間はたち私たちは中学生になりました。私はあれ以来鎌ヶ谷君に会えていません。だけどこの恋心は今も心の中にあり続けます。
鈴花ちゃんは中学生になっても私のことを気遣ってくれています。
「すみちゃん、今日も一緒に帰ろう!」
「私も一緒に帰っていいかしら」
「私も一緒に帰りたーい!」
「みんなが帰るなら私も帰ろっかな」
「早く帰ってゴロゴロしたい……」
こんな私にも鈴花ちゃんのおかげで新しい友達ができました。ひまわりちゃん、ぼたんちゃん、つばきちゃん、アリイちゃん。みんなはすごくかわいくて・・・・それに比べて私は……。
♢♦︎♢♦︎
そしてさらに時が経ち、私は玉城山学園に入学しました。もちろん5人も一緒に。
新しくクラスに入るとすぐに私は緊張のあまり、机に座ってすぐに本を読み始めた。
これでもし「何見てるの?」とか「その本めっちゃ面白いよね」とか声かけられたら嬉しいなーー。って思っていた。
そう思ってるとすぐにチャイムが鳴った。
先生らしき人が入ってきた。
「みなさん入学おめでとう。俺はこのクラスの担任をすることになった
すると廊下からドタドタと走る音が聞こえて、青年を開けて入ってきた。
「入学初日に遅刻とは大した度胸だな」
「すみません」
「今から自己紹介をしてもらうつもりだったんだ。少年から自己紹介をしてもらおうではないか」
「初めまして、俺は鎌ヶ谷悠人です。好きな食べ物はカレーライスです。特技は勉強です。・・・えーと……みんなと仲良くなりたいと思っているので一発ギャグします。人間を初めて見たカマキリ」
鎌ヶ谷……君?もしかして……あのときの……。
私は確証はなかったが、感じていた。あのときの鎌ヶ谷君だと。
「私は朝野ひまわりです!!みんなと楽しみたいと思っているのでよろしく!!!!」
「俺は
「俺は、
ついに私の番がやってきた。私は自己紹介みたいな、人前で話すことが1番苦手だった。だって小学生のときはお遊戯会でヒーローにやられる役だったのに緊張のあまり失神して「すみれちゃんって倒れる演技上手いね」って言われたくらいだし……。
「五十嵐すみれです……よろしくお願い……します……」
うわーーーー。私だってこんな謙虚な私嫌いだよ。だけどどうしても人前だと謙虚になっちゃうんだ……。
そしてその2週間後、ひまわりちゃんが鎌ヶ谷君を私の前に連れてきた。私はそのとき驚いて知らないふりをしてしまった。
「誰ですか……?」
「すみっち、忘れちゃった?カマキリの人だよ」
「カマキリ?あの人ですか……。遅刻した」
「俺の印象、遅刻とカマキリかよ」
「すみません……。私、失礼ですよね……」
「別に怒ってる訳じゃないから」
「すみっちは謙虚すぎるんだよ。鎌っちにはなに言っても全然大丈夫だよ」
「俺、昨日初めて朝野さんと話したんですけど……」
「友達に時間なんて関係ないでしょ?」
「友達?」
「え?私たちもう友達だよね?」
ひまわりちゃんは鎌ヶ谷君と仲がいいのかな……?話してた感じ私のことなんて覚えてないみたいだけど……。
「そうだ!連絡先交換しよ?」
「連絡先?」
「そうそう。友達なんだからさ」
私は鎌ヶ谷君と初めて連絡先を交換した。私はそのことがとても嬉しかった。
私たちはその後ショッピングモールに行ったりした。そこでとったプリクラは今でも大切に保管している。
そして鎌ヶ谷君が鈴花ちゃんとデートしたあの日。私はひまわりちゃんと尾行していたけど本当は尾行なんてしたくなかった。だって……もし鈴花ちゃんが鎌ヶ谷君のことを好きになっていたら私に勝ち目なんてないから……。
案の定その予感は的中してしまった。鈴花ちゃんは鎌ヶ谷君のことを間違いなく男の子として見ていたのだ。
もう私に勝ち目なんてないのかな……。でも諦められない……。
そしてひまわりちゃんが何気なく聞いた一言で私の諦めようとしていた心が晴れた。
「ねえねえ、鎌っちー、鎌っちって昔、どんな男の子だったの?」
「何?急に……」
「私も鎌ヶ谷君の昔の話聞きたい……」
「五十嵐さんまで」
「だって、鎌っちともっと仲良くなりたいなって思って」
「いいから、いいから。」
「昔と今で、あんまり変わってないよ」
「そうなの?じゃあ昔から面白かったんだね」
「やっぱり今日もからかってますよね」
「そんなことないよ。鎌っちって面白いし……それに優しいから」
「優しい?」
「自覚ないの?優しいよめっちゃくちゃ。だって鈴っちの弟くんを助けたんでしょ?それ、簡単なことでめちゃくちゃ難しいよ」
「難しいと思う……」
「俺、妹いるからさ……なんか子供とか見捨てられなくて。そのせいで空回りしたこともあったんだけど」
「空回り?」
「うん。昔ね、男の子達にいじめられて泣いている女の子がいてさ、その子、妹と同じような感じだったから妹だと勘違いして琴羽をいじめるな!とか似合わないこと言っちゃったんだよね。結局、その子には感謝されたんだけど……。笑えるでしょ」
覚えててくれたんだ……。助けられてたその子が私なんだよ……気づいて……鎌ヶ谷君……。
「そんなことないよ!」
私はつい大きい声で言ってしまった。
そしてぼたんちゃんが鎌ヶ谷君のことを旦那様発言をしていたことには少し驚いたけど、鎌ヶ谷君が本気にしてないみたいだし大丈夫かな……。
私たちはこの後、鎌ヶ谷君の家に行くことになった。
鎌ヶ谷君の家に行けば何か変わるかもと期待していたけど自分の心の弱さに心底腹が立つ。
だって、好きな人がいることも素直に言えないのだから……。
俺と6輪の花〜ぼっちの俺が学園のヒロインたちと友達になってしまったのだが!?〜 星山光 @hosiyamahikari
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