6輪の花束後編
「ご飯が出来たわよーー」
母の声が聞こえた。俺たちはそれを聞いてリビングに向かった。
「うわーーすごい美味しそう!!」
リビングには唐揚げやカレーなどたくさんのご飯が置いてある。
「鈴花ちゃんとぼたんちゃん、料理がめちゃくちゃうまいのよ。手伝ってくれてありがとう」
「いえいえ、料理が好きですから」
「
相変わらずだな新山さん。
俺たちは料理を囲んで座った。そして俺たちはご飯を食べ始めた。
「あ母さんとお父さんは買い物に行ってくるわね。台所にカレーのおかわりがあるから遠慮なくおかわりしてね」
「はーい」
母と父は気を利かせてくれたのか、家を空けてくれた。
「この
「ほんとだ!!味がめちゃくちゃ染みてる」
「これ私が作ったんだよ」
「さすが、鈴花」
「鈴花さん料理うまいんですね!!これはポイント高いですよ」
「ポイント?わからないけどありがとう、琴羽ちゃん」
琴羽はまだ、将来のお姉ちゃん(俺の恋人)を探しているらしい。俺なんかとこの6人が釣り合うわけないだろ!!
「琴羽ちゃん、私の作った海老グラタンを食べてみてください」
新山さんにそう言われて、琴羽は海老グラタンを口に入れる。
「おいしぃぃぃーー!ぼたんお姉ちゃんも高得点だよ」
「嬉しいですわ」
まさか新山さん、気づいているのか?琴羽がなにをしているのか。まずい、1番気づいて欲しくない人に気づかれてしまった。
「鎌っち、どうしたの?いつもだったらポイントってなんだよ!!みたいにツッコむのに」
「いや、心の中ではツッコんでたよ」
「あははは。心の中でツッコんだって意味ないじゃん。やっぱり面白いなーー鎌っちは」
朝野さんはそう言いながら俺の肩をビシバシと叩いた。
「アリイ、カレーおかわりする」
アリイさんは無言でカレーを頬張っていたらしい。さっきまで大盛りだったよな!?
「アリイ、口にカレーがついてるわよ」
そう言って高瀬さんはアリイの口についてるカレーをティッシュで拭いた。高瀬さんって俺には冷たいけど、5人には優しいんだよな……。
「私もおかわりーーー。すみっちはおかわりする?」
「私は大丈夫……このサラダを食べるから……」
「そっか!!アリイちゃん、私もおかわりする」
やっぱりこの6人ってほんと仲が良いよな。
「旦那様、カレー食べ終わったんですね。私がよそりましょうか?」
「大丈夫!俺もサラダ食べるから」
俺は新山さんの旦那様呼びにも結構慣れてきたのか、無意識にスールしていた。
俺たちは雑談を交えながら料理を食べ続けた。
「ふぅー、もうお腹いっぱいで食べれないよ」
「確かにお腹いっぱい」
「美味しかったよーー」
みんなは料理の味に満足してくれたらしい。良かった。
友達が俺の家に集まってるんだ!!そしたらやることといえば一つしかない。俺の友達と一緒にやりたいことランキング1位のパーティーゲームだ。
俺はみんながご飯を食べ終え、片付けを終わらせる頃に自分の部屋からトランプを持ってきた。
「みんな、トランプ持ってきた。ババ抜きをやろう」
「えーー、ババ抜き?」
「旦那様がやりたいことをやるのも妻の務めです」
「おにぃー、友達とババ抜きやりたがってたもんね」
「お散歩したい……」
「いいよ……」
「やろーーー!!」
「面白そうだね」
それぞれが一斉に言ったので俺は聞き取れなかったが、みんなやってくれるらしい。多分……。
俺はトランプを上手をシャッフルした。
「えーー!?鎌っちシャッフルめちゃくちゃうまい!!」
「まあね!1人で何回もシュミレーションしてたから」
トランプのシャッフルは勉強と同様、数少ない俺の自慢の1つだ。友達ができたらいっぱい遊べるように素早くシャッフルできるように何回も自分の部屋で練習した甲斐があった。
「おにぃー、それ自慢できることじゃないよ……」
俺はシャッフルが終わると、1人、1人にトランプを配っていく。
そして、ジャンケンの結果、俺、琴羽、海風さん、アリイさん、新山さん、五十嵐さん、朝野さん、高瀬さんの順で引くことになった。
初めに、俺が高瀬さんのトランプを引く。トランプの基本はポーカーフェイスだ。俺は高瀬さんの顔をじっくり見つめた。
「ちょっとカマキリ、あなたの顔を見てるとイライラしてくるから早く引いてちょうだい」
「まぁーまぁー、そう言うゲームなんだからさ、つばきちゃんも落ち着いてって」
「ひまわりがそう言うなら……」
やっぱり高瀬さんは俺にだけ当たりが強い。俺以外の言うことはちゃんと受け入れるのに……。
俺は高瀬さんから1枚取った。数字が揃う。
俺たちはトランプを順当に進めていった。
1番最初に上がったのはアリイさんだった。アリイさんは元々、何を考えてるか誰も読めないことが多く、トランプにおいてはそれがものすごい武器になった。
「アリイ、お散歩行ってくる」
やっぱりアリイさんは自由人だ。トランプで1抜けしたと思ったら散歩に行くと言い出したのだから。
「うん。気をつけてねーー」
やっぱり他の6人はこの状況に慣れてるのかな。アリイさんが急にお散歩に行くと言っても全く動じなかったし。
俺たちはトランプの続きを行った。
琴羽、朝野さん、新山さん、海風さん、五十嵐さんの順に抜けていった。残ったのは、俺と高瀬さんだった。
「カマキリには負けられないわね」
俺もなんか高瀬さんだけには負けたくなかった。
俺が高瀬さんのトランプを引く。それはジョーカーだった。
次に高瀬さんが俺のを引いた。
「やったーー、揃った!!」
俺はビリだった。
「鎌っち、弱っわ!!」
そう言われたけど、俺は初めて友達とトランプをした喜びの方が遥かに大きかったので、なんとも感じなかった。
「おにぃーのやりたいことやったから次は私の番!」
「琴ちゃん何かやりたいことあるの?」
「はい!!こんなにかわいい女の子がたくさんいるんだから恋バナやりましょう!!」
「恋バナ!いいね、面白そう」
「やろう、やろう」
「私も……」
珍しく五十嵐さんが乗り気だった。こういう話、苦手そうだけど……。
「まず、皆さんは好きな人とかいますか?」
「私はもちろん旦那様です」
「新山さんー!?」
やっぱり恋バナをする場で旦那様と言われたらツッコみたくもなる。
「へーー新山さん、旦那さん?がいるんですね」
どうやら琴羽には旦那様=俺ってことはバレてないようだ。バレたらめんどくさくなるし言わないでおこう。
「ひまねぇーは?」
「私?私はいるよ……」
「えーーー!?誰ですかーー?」
「ヒミツ」
朝野さんは好きな人がいるらしい。そりゃあ朝野さんともなれば好きな人の1人くらいはいるだろう。
「つばきお姉ちゃんは?」
「私はいないわよ」
「ほんとですかー?」
「ほんとよ」
琴羽は高瀬さんをニヤニヤしながら問い詰めた。
「まぁいいでしょう。海風さんはどうですか?」
「うん。いるよ」
「えーー誰ですか?」
「優しくて、気を遣える。かっこいい男の子かな」
「じゃあおにぃーじゃないか。おにぃーは優しいけど、気は使えないし、かっこよくないし」
「確かにカマキリはそうね」
琴羽ーー。一応俺は兄だぞ。俺だってそんなことはわかってるけどそんなにみんなの前でズバッという必要なくない?高瀬さんも便乗しちゃったし……。
「最後!五十嵐さんは?」
「私は……いないよ……」
その瞬間誰もがわかった。明らかに嘘をついていると。だって五十嵐さん顔めっちゃ赤くなってるし。
「そうですか……」
流石の琴羽も聞いた瞬間きまずくなったのか、はたまた気を使ったのか、聞いてなかったことにした。
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