最終話:愚かにも嫉妬による犯行。

雛と壮介がとっ捕まえた郷田の話によると郷田も出会い系で池田 晶子と付き

合っていたらしいことが分かった。

だが池田 翔子が殺された時間、郷田は「ディムハイド」にいたらしい。

疑うなら、その時間自分が店にいたことを他の客が証明してくれるってことらしい。


そのアリバイを信じるなら郷田は白。

まあ雛は薄々、郷田に人を殺す度胸なんかある男じゃないくらいのことは

分かっていたみたいだ・・・すぐキレる男だけどヘタレだから。


「雛・・・またまた振り出しだよ」


「アリバイがあるんならしょうがないね」


郷田の話によると池田 晶子には自分以外にも付き合ってる男が数人いた

らしい。


「池田 翔子はまじで淫乱女だな・・・依存してるよ」


「付き合ってた男全部当たってたら日が暮れるね、どうしよう壮介」


で、その郷田だが、どうやら池田 翔子が金髪男、三田村に乗り換えたことで、

恨みつらみを言ったら、それじゃって 池田 翔子がママ友の一人を紹介して

くれたらしい。


そのママ友ってのが・・・「吉仲 美津子よしなか みつこ

吉仲 美津子はどうってことない、とくに魅力的とも言えない女でビジュアルも

中の下くらいの小太りの主婦だったらしい。

普通なら男も相手にしないところなんだが穴さえあればそれでいいって男は

たくさんいる。


そこで保育園の名簿を照らし合わせてみたところ・・・


吉仲 美津子には銀行に勤めてる旦那がいて子供は男の子と女の子が

それぞれ一人づついる。


「翔子の紹介で吉仲 美津子と郷田は付き合ってたようだな」

「まあ出会い系なんてあっちやこっちで繋がってるようなもんだよな」


「ヤリモク、ヤリチン、ヤリマンだらけの世界だよね、ったく」


でも吉仲は嫉妬深い女で、郷田はディムハイドのママと別れてくれって

迫られたらしい。

吉仲 美津子は勝手な女だ・・・。

自分は旦那がいて、しかも旦那に内緒で浮気してるくせに・・・。

常に自己中女なんだろう。


「池田 翔子を殺したのは吉仲 美津子?・・・壮介」


「決まりだな」

「吉仲 美津子が一番許許せなかったのが池田 翔子だったんだろう」

「池田 翔子の美貌・・・男が放っておかない魅力・・・そういう物に美津子は

嫉妬したんだ」

「だから、翔子にだけは男は取られたくない・・・そう思ったんだろうな」


そこまでは壮介の推理・・・当たってるかどうかは吉仲 美津子から事情を

聞かないと真実は分からないことだった。


あとで分かった話によると防犯カメラに映ってた大勢の中に吉仲 美津子が

映っていたそうだ。

最初は犯人は男だと思われていたから吉仲 美津子を見逃していたようだ。


「たしかに本町通りの空き店舗に池田 翔子を呼び出したのは三田村だったのは

確からしい」

「吉仲 美津子は三田村と池田翔子のあとをつけていたんだろうな」


「壮介、これで吉仲 美津子が需要な人物だってことが分かったね」

「あとは殺害に使われた凶器と彼女のアリバイね」


結局、凶器は出なかったようだが、吉仲 美津子のアリバイは曖昧で信ぴょう性

にかけるものだった。

そして自分が殺ったとの自供が取れてやはり池田 翔子を殺したのは吉仲 美津子

だった。


殺人の動機は収まることのない女の嫉妬、逆恨み・・・愚かなこと。


雛と壮介は、あとは他の刑事に任せてこの事件から降りた。

こういう事件は被害者も加害者もあとに残された家族が悲惨で可哀想だ。

消えない記憶となって一生付いて回るから・・・。


事件は解決した。

それこで壮介は雛と善次郎を誘って焼肉を食いに行った。


数日後テレビで吉仲 美津子が池田 翔子殺人の罪で逮捕されたことをニュース

でやっていた。


「善次郎さん、ひとつ聞いていい?」


「なにかな?雛ちゃん」


「あのね、壮介の魂だけど私から出せないの?」


「ははあ・・・壮介さんの魂を離脱させて・・・ひとりの男として

恋愛できたらって思ってます?雛ちゃん」


「無理ですか?」


「無理です・・・って言うか・・・どうしても壮介さんの魂を出したいなら

・・・遺体を一個用意せねばなりません」

「壮介さんの魂が雛ちゃんの体を出たら長くは持ちません・・・そのまま

なら彼の魂はこの世から消滅してしまいますから・・・」


だから早急に他の遺体に移さねばなりません・・・でもその遺体に彼の魂が

移ったら中身は壮介さんでも、肉体は他人のものですから・・・どうでしょう?

見かけはまったく別人になってしまいます・・・

雛さんはそれでもいいんですか?・・・それでもその人を壮介さんだと思って

好きになれますか?」


「無理ね・・・その人、もう壮介じゃないもん」


「分かってますよ・・・でも今のほうがいいんじゃないですか?」

「おふたりは名コンビですよ」


「そうだな・・・迷コンビかもな・・・な、雛」


「そっちだね・・・」


「雛ちゃん、たしかに今の状況ではふたりが交わることは絶対ありません」

「でもお互いの悩みや苦しや楽しみや喜びも今の状態なら共有できます」

「私はそのほうがお二人にとってベストと思うのですが?・・・」

「それに刑事としてもね」


「そうだね・・・分かった・・・今が一番いい・・・私の彼氏は誰より

一番私のそばにいる・・・別れたくても別れられないんだよね」

「それが私にとってベストなことなんだね、ね壮介」


「今夜も気持ち良くイかしてやるから・・・俺がいないと困るだろ?」


「スケベ〜・・・ひとつクレーム」


「なんだよ?」


「私のお尻の穴に指を突っ込むの止めて・・・汚いし感じないから」


「雛のケツの穴・・・可愛いんだもん・・・止めない」


「ど変態!!・・・もう死ねば?」


「おまえの望みを叶えてやりたいけど俺は高校生の時、死んでるって・・・」


おしまい。



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雛ちゃん. Be reborn。〜魂は切ない恋をする〜 猫の尻尾 @amanotenshi

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