第8話:金髪男。
で、雛と壮介、それに死神の善次郎も加わわってそれぞれの家に聞き込みに
入った。
積極的に動くのは壮介のイケイケな性格からだった。
それは刑事である雛には大助かりだった。
ママ友の話によると以前、池田 翔子から旦那のことで痴を聞かされたことが
分かった。
旦那が仕事仕事で自分の相手をしくれないって、だから腹いせに出会い系で
男と遊んでやってるんだって・・・。
お〜耳寄りな情報・・・。
で、その遊んでた男が問題・・・いったいどこの誰なのか?
それが分からないと事件は前に進まない。
池田 翔子が殺された事件で他の刑事も聞き込みに動いていて池田 翔子と
不倫してたって男を探してるってことだった。
池田 翔子が殺された本町通りの店のあたりの防犯カメラも調べたらしいが
たしかに被害者池田 翔子の姿は写っていたらしいが、それらしい男の姿は
写ってなかったって話だった。
しかも本町通りは人の出入りが激しく、その中から怪しい人物を特定する
のは難しいらしい。
「誰か池田 翔子とそいつが一緒にいるところを見かけた人いないのかな?」
「最近はみんな防犯カメラが設置してあることくらいのは知ってますからね」
横から善次郎が言った。
「雛、おそらく池田 翔子を刺し殺したヤツは十中八九、出会い系で付き合って
たって男だよ、こういう場合はたいがい別れ話のもつれと相場が決まってるさ」
「私もそう思う、壮介」
「あの、私一時的に魂の国に帰ってますから、用があったら喚び出してください」
「雛さん、前に渡しておきましたよね、ゴールトン・ホイッスル」
「あれって犬笛でしょ?」
「ゴールトン・ホイッスルです」
「はいはい・・・分かった・・・用事ある時は笛吹けばいいんでしょ?」
死神、善次郎はふたりにお辞儀して魂の国に帰って行った。
事件に戻ろう。
結局、金髪男の正体はつかめず・・・この事件は迷宮入りするかと思った。
その間も、雛と壮介はママ友の家を辛抱強く聞き込みに回っていた。
するとママ友にひとりが池田 翔子が旦那じゃない男と歩いてるところを見た
って人が現れた。
そこで雛は、出会い系サイトに登録してる、いかにも遊び人ふうな男の
何人かの顔をプリントアウトして壮介とそのママ友に診てもらいに行った。
「すいませんが、この中に池田 翔子さんと一緒に歩いてたって男性が
いませんか?」
「どうなのかな・・・遠くてはっきりしないけどその人、髪が金髪だったわね 」
「それだけははっきり覚えてるわね・・・」
ママ友は一枚づつ写真を見ていて手が止まった。
「あ、この人・・・金髪の人・・・たぶんこの火人に間違いないと思うわ」
ビンゴ・・・。
もしママ友の見間違いだったとしても、貴重な情報だ。
雛と壮介はママ友にお礼を言って早速男の探索をはじめた。
出会い系に登録してる名前はおそらく偽名・・・ほんとの名前なんか登録する
バカはいないだろうから・・・。
ママ友の貴重な情報から金髪の男の正体が判明した。
警察の前科者リストの中に該当者がいて思ったとおり前科持ちだった。
そいつの名前は「
三田村は普段「弥生」ってスナックに出入りしてるってことらしい。
そのスナックのママが三田村の奥さん。
根っからの遊び人、ねっからのヤリマンらしい、いわゆるヒモだな。
だから池田 翔子以外にも女が何人もいたみたいだ。
名前が分かったことから、すぐに三田村は警察に任意でしょっぴかれた。
そういう訳で今回の事件は三田村が犯人で収束すると思われた。
でも凶器も見つかってないし、三田村が池田翔子を殺したと言う明確な
証拠も見つかってはいない・・・なにより三田村にはアリバイがあった。
池田 翔子が殺されたであろう時間帯に三田村は奥さんと店にいたらしい。
まあ奥さんの証言だから口裏を合わせてるかもしれないので、そのアリバイ
はアテにはならなかったが、その時間に店に来ていた常連客の証言があったこと
から白だろうと言うことになった。
だから、三田村逮捕にはいたらなかった。
「物的証拠がないもん・・・状況証拠だけじゃただの仮説にすぎないね」
「そうだな、たとえ逮捕しても検察までは持って行けないだろ?」
「犯人かもしれないって分かってて逮捕できないってのはいただけないね」
だがどこをどう探っても証拠は出てこない。
「他の線を当たるしかないね・・・また振り出しかな、壮介?」
「行き詰まった時は事件から一旦離れる・・・それが俺の考え」
「そうすると物事が違う方向に展開していく場合だってあるもんだよ」
「果報は寝て待てね・・・寝てるだけじゃ果報はやっては来ないのが常だよ
じれったいね、壮介」
つづく。
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