第7話:本町通りの刺殺事件。
壮介の魂が雛の体に入ってから7年経っていた。
その間、雛と壮介は相変わらず、どうでもいいことで揉めていた。
お互いのことを、なにもかも知り尽くしてるふたり・・・揉めると大概は壮介が
誤って終了ってことが多かった。
魂になっても女の尻に敷かれる運命の壮介。
壮介の魂を雛の体に入れてしまった死神の「異死神
していた。
雛は壮介とともに無事高校を卒業して大学に進学、そして横浜南金山署の
婦警になり昇級試験に合格して刑事になった。
ある意味、消極的な雛は積極的な壮介の正確に助けられたようなもの。
刑事になったものの・・・事件と言っても最近はもっぱら男女のもつれによる
殺傷事件が増えていた。
これもSNSやマッチンアプリや出会い系サイトによるトラブルが元になっていた。
雛が刑事をしている関係もあって、これ幸いと殺された被害者の魂を三途の川
まで運ぶって仕事も善次郎が担っていた。
ヒマな時は雛と壮介コンビの手伝いなんかもしていた。
死神は瞬間移動してどこにでも行けるから公共機関など必要なかった。
普通、刑事はふたりコンビニなって捜査に当たるが雛は男性アレルギーだと
言うことにして、ひとりで捜査に当たっていた。
たぶんコンビを組まされるとなると男の刑事になるからだ。
自分の体の中に壮介がいる以上、相棒「男ふたり」うっとしいからね。
そんな折、新たな事件が勃発した。
中年女性の遺体が本町通りの閉店した店舗あとで発見されたのだ。
さっそく雛は現場に駆り出された。
仏は体の数カ所を刺されていて、死因は失血死。
携帯していた免許証から刺された女の名前は「
最近やたら女性の刺殺事件が多いなって雛と壮介は思った。
ほとんどの事件は金か恋愛のもつれ・・・だいたいそう相場が決まってる。
池田 翔子の夫は「
池田陽光と翔子との間には保育園に通う女の子がひとり。
家族三人の家族構成。
だから基本通り最初に夫の陽光が疑われた。
基本通り池田 陽光は一応事情聴取と言うことで署に呼ばれ、そして
その旦那が言うには殺された翔子はどうやら不倫してたらしいってことが
判明した。
「僕は仕事も忙しく出張も多くて妻をかまってやれなかったんです」
「それでだと思うんです・・・他の男のところへ行ってしまって・・・」
「不倫てことになると世間体がね・・・あまり公にはしたくなくて ・・・
だからそのまま放置してたんです」
「僕を裏切って浮気した妻とは言え、こんなことになって可哀想で・・・」
「せめて妻を殺した犯人を捕まえてやってください、お願いします」
「たとえ旦那が妻の不倫を内緒にしてたって警察もバカじゃないんだから
そんなの調べりゃする分かることだろ・・・な雛?」
「そうだね・・・まあ旦那は犯人じゃないようだから真犯人探さなきゃ」
「さてと、まずは池田 翔子の不倫相手・・・男関係からか・・・」
「調べるぞ、雛」
「え?調べるって?」
「不倫って言うとます考えられるのはマッチングか出会い系だろ?・・・
そっから行こうって言ってんの」
壮介はネットに詳しいくなかったから、そこは雛に頼んで出会い系サイト
を軒並み検索してもらった。
「俺はパソコンはからっしきだからな・・・まず覚える気もないし・・・」
「面倒くさいことは私任せだね、いつも」
「それでバランスが取れてんだよ」
どこかの出会い系に、まだ末梢されていなければ池田翔子の登録名が残ってる
かもしれない。
で何十件かめの出会い系サイトに池田翔子の名前が見つかった。
馬鹿正直に実名で登録していた。
その他にその出会い系に登録してる男どものことも雛に調べてもらった。
そしたら出るわ出るわ・・・あまりに数が多すぎたため池田翔子と同年齢か
歳上の男だけに絞ろうと思った。
その中にきっと池田翔子に接触したやつがいるはずとは思ったが、
これはと思ったやつをひとりづつ当たっていてたら時間がかかりすぎる。
「雛・・・効率悪すぎだな」
「それなら池田 翔子さんのママ友とかから情報収集するってのはどう?」
「ママ友同士ならさ、自分の旦那のことやプライベートなこととか、うっかり
話しちゃったりしてるかもでしょ?・・・」
「女性って誰かに悩みを聞いて欲しかったりするからね・・・どう?」
「雛・・・頭いいな、おまえ・・・その線で行こう」
雛のナイスな提案で、雛と壮介は池田 翔子のママ友から情報を収集すること
にした。
雛の言った通り案外、主婦ってのは自分のプライベートを懇意にしてる友人には
話してる可能性あるようだ。
昔の女性と違って心に秘めた・・・なんてことはないんだ。
まず、雛たちは池田家の娘が通っていた保育園を訪ねることにした。
こういう時、刑事が女だと相手も気を緩める。
男の刑事は相手に胡散臭がられるから女のほうがいいのだ。
で、事情を説明して雛は保育士に園児たちの住所をなんとか教えてもらった。
普通は個人の情報の開示はダメなんだそうだが池田 翔子が殺されたと言う
ことが効いてしぶしぶ教えてくれた。
で、雛と壮介、それに死神の善次郎も加わわってそれぞれの家に聞き込みに
はいった。
積極的に動くのは壮介のイケイケな性格からだった。
それは刑事である雛には大助かりだった。
つづく。
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