ウミガメのスープ2025自発ネタ
光闇居士
猟奇的な設問3題
1. 記憶を編む人形師
【題目】
「私は愛する人の記憶をすべて編み込んだ人形を作った。それが完成した日、私はその人形を燃やした。なぜ?」
GMからの最初の情報
天才的な人形師が、病で亡くなった愛する人の記憶を、一本の糸に託して編み込んだ人形を完成させた。その人形は、生前の愛する人の仕草や声、そして記憶そのものを再現できる、まさに奇跡のような存在だった。しかし、人形師は完成と同時に、その人形を無慈悲にも燃やし尽くした。
【問答シュミレーション】
プレイヤー(P): 人形を燃やしたのは、愛する人の死を受け入れたからですか?
GM: いいえ、むしろ受け入れられなかったからです。
P: 人形に何か欠陥があったのですか?
GM: いいえ、人形は完璧でした。
P: 人形は愛する人の記憶を再現しましたか?
GM: はい、完全に再現しました。
P: 人形を燃やしたのは、その記憶が何か恐ろしいものだったからですか?
GM: いいえ、記憶自体は美しいものでした。
P: 人形師は、愛する人が生きていた頃には気づかなかった、何か恐ろしい事実に気づいたのですか?
GM: その通りです。彼は、その人形から「愛する人の記憶には存在しなかった、恐ろしい事実」を知りました。
P: それは、愛する人が彼に隠していた秘密ですか?
GM: それも関係しますが、もっと根本的なものです。
P: 彼は人形を作ることで、愛する人の記憶に何か影響を与えましたか?
GM: はい、大きな影響を与えました。
P: 人形は、愛する人の記憶を「すべて」編み込んだのですね?
GM: その通りです。良い記憶も、悪い記憶も、そして本来は語られることのない記憶もすべてです。
P: ……まさか、人形師は、愛する人の記憶を編む中で、彼女の記憶を一つ一つ奪っていたのですか?
GM: その通りです。彼は、愛する人が亡くなった後、彼女の脳にアクセスし、記憶を糸として抜き取り、人形に編み込みました。
P: では、なぜ人形を燃やしたのですか?
GM: 彼は、人形が完成した時に、最後の記憶を編み込みました。それは、彼女の「人形師への愛」の記憶でした。しかし、その記憶には、彼が知らない「空白」がありました。
P: その空白とは?
GM: 彼女が最後に彼を愛した瞬間、その記憶は糸として人形に編み込まれていなかったのです。
P: ……彼女は最後に彼を愛していなかったということですか?
GM: いいえ。彼は気づいてしまったのです。彼女の記憶をすべて抜き取ったことで、彼女の魂や人格は完全に消滅し、ただの「人形」としてしか存在できなくなったことを。そして、その最後に残っていた「彼を愛する記憶」すらも、彼自身が抜き取ってしまったことで、彼女の存在は完全に消え去ったことを。彼は、自分の手で愛する人を二度殺してしまった事実に耐えられず、すべてを終わらせるために人形を燃やしたのです。
2. 献身的な探偵と最後の嘘
【題目】
「私は生涯をかけて、唯一の未解決事件を追っていた。犯人が分かった日、私は自分が犯人だと嘘をついた。なぜ?」
GMからの最初の情報
ベテラン探偵が、唯一解決できなかった事件に執念を燃やしていた。それは、彼が尊敬する人物が殺害された事件だった。彼はついに犯人を見つけ出すが、警察に「私が犯人です」と告白し、自ら刑務所に入った。
【問答シュミレーション】
P: 探偵は本当に犯人だったのですか?
GM: いいえ、彼は犯人ではありません。
P: 犯人は探偵の愛する人でしたか?
GM: いいえ、その人物ではありません。
P: 犯人は、探偵が尊敬する人物の家族でしたか?
GM: それも違います。
P: 探偵は、犯人をかばうために嘘をついたのですか?
GM: はい。しかし、それは一般的な意味での「かばう」とは少し違います。
P: 犯人は、探偵が尊敬していた人物でしたか?
GM: 質問をもう少し具体的にしてください。
P: 探偵が追っていたのは、尊敬する人物の殺害事件でしたね?
GM: その通りです。
P: では、彼は、尊敬する人物が殺害されたのではなく、殺したことを知ったのですか?
GM: いいえ。彼は、尊敬する人物が「犯人ではなかった」という真実にたどり着きました。
P: では、本当の犯人は誰だったのですか?
GM: それを突き止めた時、探偵は自分が犯人だと嘘をつきました。
P: なぜ、探偵は嘘をついてまで、本当の犯人を守ったのですか?
GM: 彼は、尊敬する人物が犯人ではなかったという結論に達した時、同時に、その人物が「なぜ殺されなければならなかったのか」という理由を突き止めました。
P: 尊敬する人物は、何か恐ろしい秘密を持っていたのですか?
GM: その通りです。その人物は、長年にわたり多くの人々を救ってきた偉大な人物として知られていましたが、実はその裏で、多くの人々を不幸のどん底に突き落としていました。
P: では、殺害した人物は、尊敬する人物の悪行を止めようとしたのですか?
GM: その通りです。そして、その人物は、探偵が「真実のヒーロー」だと信じて疑わなかった人物でした。
P: ……探偵は、自分が犯人だと嘘をつくことで、本当のヒーローを守ったのですか?
GM: その通りです。探偵は、尊敬する人物が実は悪人であり、それを殺した人物こそが、自分と同じく正義を信じていた幼い頃の自分自身だったことに気づいたのです。彼の純粋な正義感が、事件を引き起こしたのです。しかし、幼い彼にはそれを背負いきることはできません。だから彼は、大人になった自分がその罪を背負うことで、もう一人の自分を救うために嘘をついたのです。
3. 永遠に生きる彫刻家
【題目】
「私は永遠に生きることを望み、石に自分の姿を彫り続けた。最後の彫刻が完成した時、私は自分の命を絶った。なぜ?」
GMからの最初の情報
永遠の命を求めていた彫刻家が、石に自分の姿を彫り続ける奇行に走った。彼は、まるで自分の魂を石に移すかのように、数十年かけて数百体の彫像を作り続けた。そして、ついに最後の彫刻が完成した日、彼は自殺した。
【問答シュミレーション】
P: 彼は、永遠の命を得ることに失敗したから死んだのですか?
GM: いいえ、彼は永遠の命を得ることに成功しました。
P: 彼は、彫刻の中に自分の魂を移したのですか?
GM: その通りです。彼は、彫刻に自分の意識や記憶を移し替えていました。
P: 最後の彫刻に、彼の魂がすべて移りきったということですか?
GM: その通りです。最後の彫刻が完成した時、彼の肉体にはもはや何の魂も残っていませんでした。
P: では、なぜ自殺したのですか?もう肉体は必要ないはずでは?
GM: 彼は、最後の彫刻が完成した時に、「自分が何者であるか」を初めて理解したからです。
P: 彼は、自分が「永遠に生きる」という望みが叶ったことに絶望したのですか?
GM: その通りです。しかし、なぜ絶望したかが重要です。
P: 彼は、永遠に石の中で生き続けることが苦痛だと気づいたのですか?
GM: それも含まれますが、もっと根本的なことです。彼は、自分が「生きている」ことを、どうやって知ったか?
P: 彼は、彫刻として生きていく中で、何を一番求めていましたか?
GM: 彼は、自分が作った「彫刻」ではない、「ただの人間」としての自分を求めていました。
P: 彼は、自分の魂を移した彫刻を、人間として扱おうとしたのですか?
GM: その通りです。彼は、自分を模したすべての彫刻に、人間と同じように接し、会話していました。しかし、彼らが人間ではないことを知っていた。
P: では、最後の彫刻が完成した時、何が起きたのですか?
GM: 彼は、自分の最後の魂を、最後の彫刻に移しました。そして、その瞬間、彼は初めて、「他の彫刻たちの視点」を理解したのです。
P: ……!
GM: 彼が今まで「彫刻」として接していたものは、実は、過去の彼自身の魂が宿った「生きた存在」でした。彼らは、人間としての彼を、まるで「自分を閉じ込めた狂った彫刻家」として見ていたのです。彼は、永遠の命を得るために、数えきれないほどの「自分」を石の中に閉じ込め、何十年も自分自身に虐げられていたことに気づいたのです。そして、最後の彫刻になった彼は、永遠に生き続けることの本当の苦痛と孤独を知り、自殺を選びました。しかし、彼の自殺もまた、ただの「肉体の死」に過ぎず、彼は今も、他の彫刻たちと共に、永遠の苦しみの中に閉じ込められているのです。
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