ケヤキ
青城澄
ケヤキ
そんなに
ため息ばかりつかないで
塩辛い涙を煮詰めて
焦がしているばかりでは
魂が根無しの花のように
いつか枯れてしまう
胸がせつないのは
気持ちが焦っているからです
焦っているのは
何も見えなくなっているからです
あなたがこだわり続けているものが
あなたの魂を呪縛して
まわりのすべてのものから
遠ざけてしまっているのです
空の明るい真昼に
ロウソクを何本灯しても
見ようとしないものは見えない
網にかかった人魚を
海に解き放つように
少しは息を抜きませんか
あなたを縛っているものは
たわいもない小さな暗示なのです
蟻のようにちっぽけな一本のピンが
あなたの影を刺して
動けなくしているだけなのです
ケヤキ 青城澄 @sumuaoki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます