第二十九話 マーカロン村の決戦③
「やはりこちら側に最も多くのゴブリンが集結したか」
私は村に続く街道に陣取るゴブリンの数をざっと目算した。
「おおよそ三百匹といったところか。確かに凄い大軍だ。ゴブリンとはいえ、これ程の数が揃うと壮観だな」
私はその大軍を前にニヤリと口角を引き揚げた。
そしてそんな自分に少し驚く。
マーカロン村の危機だというのに、私はこれから始まる戦いに期待し、高揚しているようだ。
いつの間に私はこんなに戦闘狂いになってしまったのか───……。
数年前、マーカロン村での田舎暮らしに嫌気がさし、家を飛び出して王都に
いつの間にか私は戦うこと自体が悦びになってしまっていたようだ。
マーカロン村に戻り、冒険者ギルドの受付嬢として過ごす日々は静かで、平穏で、長閑で良かったが、どこか物足りなさを覚え、生活にハリがないと感じていたが、物足りなさの正体は、こうした「戦い」だったようだ。
その事は少し寂しくもあったが、私は今は目の前のゴブリンに集中し、マーカロン村を守ると共に、自らの心の渇きも同時に癒してもらおうと哀れな
「幸い
私はますます顔を笑顔に歪めると剣を鞘から抜き払い、静かにゴブリンに歩みを進めた。
「すまんがお前たちが襲ってくるのを待っている時間の余裕がなくてな。こちらから仕掛けさせてもらう。お前たちが誰に命じられ、どういう理由でマーカロン村を襲おうと思ったのかは知らんが憐れみを禁じ得ない。だが、安心しろ。すぐに終わらせてやる。そして苦しまぬよう一瞬で片を付けてやろう。それが元勇者パーティーの剣聖でSランク冒険者のシルヴィア=シルバーナの慈悲と知れ」
私はゴブリンに襲い掛かると全員を一瞬で殲滅した。
その戦いっぷりは凄まじく、人に見られれば
返り血を浴びることを厭わず。むしろ自ら浴びるように鮮血を
飛び散る肉片が身体に纏わりつくことを厭わず。むしろ自ら纏うように血肉を撒き散らせる。
ああ、そうだった───……。そういえば私は『殺戮の女神』『血塗られた
真っ赤に染め上げられた自らの姿を見て、私はそのことを思い出した。
そしてこの姿こそ、本来の自分であると悦びを満喫した。
それは久々に心の渇きが癒された至福の一時だったが、その余韻に浸っている暇はなかった。
今の私は勇者パーティーの剣聖でSランク冒険者ではない。
マーカロン村の冒険者ギルドの受付嬢だ。
今、私が最もしなければならないこと。
それはゴブリンの臓腑と血肉にまみれる事ではない。
マーカロン村を守ること。
それが第一だった。
私は危うく戦闘の狂乱に狂いそうになったが、かろうじて自らを取り戻した。
そして私は顔にこびりついた返り血を拭うと、村に駆け戻った。
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【あとがき】
そういえば「シルシルさんはなんでこんなに強いの?」ですが、これにはちゃんと理由がありますよ~♪
その理由はそう遠くない先で明らかになります♪
凄いネタ(注意:作者が勝手にそう思っているだけです笑)を仕込んでおりますので、どうかどうかお楽しみにしていただけますと幸いです♪
皆さまのご期待にそえるよう頑張ります~!
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