第14話 初めての指名依頼は――?
「指名依頼?」
エレスティアの装備も整って、ミレイユ、エレスティア両名から自分たちも仕事すると言われたので冒険者ギルドに来たのだが――なんか受付嬢に指名依頼があると告げられた。
「はい。依頼主はなんと、このレイレナード王国の伯爵家、ヨーゼンレウス伯爵家の方からです」
ユエが袖を引っ張ったので彼女に近づいて耳を傾ける
「(消防署の方から来ました的な詐欺では?)」
「(最後まで話聞いてからだな)」
「(分かった)」
オレが受付嬢さんを見ると続きを話し始める。
「依頼主はリエル・イルナス――「あ、パスで」えっ!?」
ユエの言葉に目を丸くする受付嬢。
対照的?に顔を青くするミレイユとエレスティア。
「昨日のあの人……貴族だったの……!? ……しかもイルナスなら王都に住む法衣貴族……!」
「カイト殿! ユエ殿を止めてくれ! 指名依頼を蹴るのはマズイ! しかも相手が法衣貴族なら王家に直通のルートがある! 悪評を流されかねんし、そのせいで冒険者ギルドから干されたり、最悪お尋ね者にされかねん!」
「そそそうですよ!私やギルド職員の首まで跳びかねません! せめて依頼人に自分でお伝えください!」
受付嬢さんも泣きついてきたので、折れることに。
「ユエ、最後まで話聞いてから考えよう」
「……(チッ)、わかったよ。とりあえず依頼内容とか説明はよ」
めんどくさそうにそう告げるユエ。
「ええ、では。依頼主はリエル・イリナス・ヨーゼンレウス様で、依頼内容は……護衛?みたいです。王都に戻るための馬車の手配や途中寄り道の人手が欲しいとかなんとか……。今は月下美人というカランの街西側の宿にいるとか……」
「……やりたくない」
ユエがだるそうにしてる。
「……とりあえず受けるにしても、受けないにしても、向こうに会う必要があると」
「はい、すでに金貨500枚を当ギルドに依頼料兼報酬金として渡されており、成功した場合報酬で半額が皆さんのものになる予定です。この予算があれば、多方面の有能な人材をスカウトできると思いますので何卒……!」
「……依頼を受けるか蹴るかはさておき、その金が半額ソッチの懐に入るよう交渉はしてみるよ」
オレはそう告げて、宿へ向かう。
――*――*――*――
宿に戻り、昼間のため誰も使ってない食堂にて依頼の話をするため、マッキーさんに話を通して待って居た。
なお、体感30分は待たされている模様。
「……遅い」
ユエが腕組んでそう零す。
「ユエ……オレお前に半日待ちぼうけ食らわせたことあるのに……」
「それについてはごめん。言われたときに謝ったし、今でも反省してる」
オレがしれっと暴露すると、ユエの怒気が空気抜けていく風船のように萎んでバツが悪そうな顔になった。
「もう少し待って、それでもダメならこっちから押しかけ「すみません、遅くなりました」」
オレの言葉を遮るようにステラの声が響く。
声の方――食堂の入り口を見るとそこにはステラがおり、その後ろからバツが悪そうな、見知らぬオトナが居て人見知り発揮してる幼児のような様子でこちらをチラ見してくるリエルの姿があった。
「……指名依頼を受けてきた。依頼の内容確認の上、受注するか決定したい」
「そ、それは……ううっ……」
オレの言葉に対して反応が鈍い。
内心首傾げてたが、ユエが睨みつけてたからなのでハリセンで鎮圧する。
「……依頼の説明なしに受注はできない。こちらを侮る言葉を吐いておきながら自身の不備を認められない。これではこちらはどうしようもない」
「……マスター」
ステラが主をたしなめるがリエルは不満そうな顔をして愚痴り始めた。
「妾齢200を超えるというのに……妾の半分も生きておらんような奴らに頭を「貴族と言うのは力を持つもの、同時にその持つ力に責任を持たねばならない、己の失態を誤魔化そうとするのは人として恥ずべき行為だ、とヨーゼンレウス家の歴代当主に姑のような口煩さで言っていたのは何処の先祖帰り起こしたマスターだったでしょうか」ぐぬぬぬ」
歯噛みしたあと、重そうな足取りでオレたちの前に来るリエル。
「――自分で測れぬ力を無いモノと侮辱して、貶してすまなんだ!」
頭を下げて人を貶したことを謝罪してきた。
オレはとりあえずけじめつけたとしてヨシとするが……。
ゆえをチラ見する。
「そう……(無関心)」
「なんじゃコイツ。ステラ、貴族への不敬罪で処断できんのか?」
ユエのリアクションに困惑して自律魔導人形に問いかけるリエル。
「家を侮辱したわけでもありませんし、マスターが貴族の当主かつ主従関係結んだわけでも無いので……普通にマスターの過失ですし」
「ぐぬぬぬ」
ユエがそんな二人に対してため息混じり。
なおミレイユとエレスティアは色々な情報にキャパオーバーしてフリーズしてる模様。
「依頼の内容さっさと言って。聞き終えたら蹴るから」
「貴族相手に指名依頼を蹴るが、依頼内容聞かせろとかコヤツ肝が太すぎぬか???」
ユエの言葉に困惑するリエル。
「マスター、魔力量高そうな冒険者を小間使いにしようとしたり、その実績を理由に専属にしてこき使おうとした罰が当たりましたね。魔力量と寿命と混血の血筋くらいしか取りえのないマスターにはいい薬です」
「従者が味方に見えぬ……」
崩れ落ちるリエル。
「で、依頼内容は?」
「……王都へ戻るための護衛じゃ」
「……我々より魔力量ありそうな依頼主に護衛?必要なさそうな気が……」
「魔法使い放題……ってほどではないが、使えるはず。それで敵など粉砕出来そうですが……?そちらの方も強そうですし」
ミレイユとエレスティアが首をかしげる。
「あ、私は戦闘力皆無です。マスターも戦闘時は発動に必要な魔力が跳ね上がり、威力もほぼ皆無、発動までの時間が数十倍に伸びるので、戦力カウントできないのです。そこらのなりたて魔法使いのほうが役に立つまであります。ぶっちゃけマスターは応急的な建築と魔力チャージ以外は取り柄ないですから」
「ぐぬぬぬ」
「あと、道中のマスターの遊び相手もしてもらわないとなので。私は50年で飽きられましたし」
「見た目に中身引っ張られてる???」
ステラの補足にユエが困惑しながら思わずツッコミを入れていた。
「否定できませんね「そこはせんかい!」依頼、できればお受けいただけないかと「無視するでないわ!」」
オレは一応結論有るけど話し合いしておきたいので……
「……作戦タイム!」
「認めます」「???」
認められたので少し離れたところに3人呼び寄せ。
「……依頼蹴る1択では?」
「指名依頼の実績は大きいですから断るのは……それにこの国の法衣貴族ですし……アレで理性的に言葉の殴り合いできるあたり割かしマトモではありますから……」
「話を聞く限り家の長老的立ち位置ですので……依頼受けたほうが良いような気もしますが……カイト殿とユエ殿のランク的に変なこと起きそうなのが……!」
3人の見解を聞いてそういやオレとユエはまだFランクだったな、と頷いたりしたあと、方針を告げる。
「……依頼は受ける方向で行くが、報酬は追加を請求したりするつもりだ」
「カイトがそう言うなら、従う」
「港の整備依頼受けたパーティーで指名依頼されてるので……リーダーに従いますよ」
「私は恩があるので……嫁にはなるつもりないが、別の形で返すためにも、同行させてもらう」
積極的か消極的かはさておき賛成が取れたので先ほどの席に戻る。
「……皆様の回答を教えて頂ければ」
「――依頼は受ける。が、こっちの指図も受けてもらう。あと、依頼金は王都で受け取るのは外せない。ついでにそちらの戦えないのと魔力特化状態の問題点は、ユエなら解決できるはずだから依頼中にユエの機嫌取れればチャンスあるかもな」
「!?」「えっ、めんどくさい」
リエルが目を丸くし、ユエがリエルの問題を「解決できる」ことをうっかりなのか暴露する。
「なるほど……では依頼の一部修正後、受注する形ですね。早ければ明日の朝日出立したいのですが……」
ステラが問いかけてきたので首を横に振る。
「移動手段の手配や食料道具の準備が欲しい。明後日なら何とかできるかもだが……」
「馬車の手配等はこちらで対応したら短縮可能ですか?」
「手配が間に合うなら、明日の昼に出立……いえ、仲間の心残り次第なのでなんとも」
「……では明後日の早朝に出立できるように手配しておきます。王都への途中で寄り道ありますがそちらにも寄るので不安でしたら追加で食料などを購入ください」
こうしてオレ、ユエ、ミレイユ、エレスティアは指名依頼でリエルの護衛を受けることになったのである。
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