第12話 外見年齢詐欺VS異次元魔力量2名

さて、異世界生活2日目の夕食になるわけだが――


「だめだ……米が食いてぇ」


パンを目の前にして項垂れる。


「もう末期症状になってる……」


「えっ、カイトさんまさか禁忌の薬の類を!?」


「見損なったぞカイト!」


ユエの言葉になんか勘違いするミレイユとエレスティア。


「ん? ああ……オレの故郷の主食が恋しくなっただけだ」


「カイトの抱える致命的欠点の1つだね。発狂とかはしないけど、たぶん放置すると萎びたキノコみたいになると思う」


「ホームシックでしたか……」


「てっきり危ない薬でもやってるのかと……」


オレとユエの補足で席に付き直す2人。


まだ出会って間もないけど、オレそんなモノに手を出すようなヤツに見えるのだろうか……。


「厨房借りて自炊したら? 向こう数年分はストレージに米あるし」


「……なるほど?」


そういえば【アストレイア・サーガ】は料理もできたし、米とかの食材アイテムとかもあった。


ストレージの一覧(未だに全部目を通していない模様)から検索すると米、味噌、醤油等を発見する。何れも数十トン程ある……あれ、コレ普通に100年食い続けられそうな気が……。


「環境整えられれば栽培ワンチャンあるけど、それなりの広さの拠点手に入れたらだから当面先かな?」


「どこぞの牧場ゲーとかの農場みたいなところか……しかし拠点に縛られるのはなんか違う……!」


頭抱えて悶えるオレ。


なお食事はキッチリする模様。


「持ってるのにホームシック……いや、気持ちはわからないでもないですけど……」


「港の整理をほとんど1人でされた人とは思えないこの形容詞難い差は一体――」


「――うむ? おぬしらが港の整備をした者たちかえ?」


声のする方をみると魔女っ子な服装に身を包んだ、若草色の髪をしたメスガキみたいなちんちくりん娘がこちらを見ていた。


「……正確には、カイトさん1人で私たち見てるだけだったと言いますか――」


「――ずいぶんと法螺を吹くのう」


ミレイユの言葉に鼻で笑うような反応をする娘。


「……実際港は直されてますけど……」


「じゃから、おぬしらの魔力量じゃどう逆立ちしても足りんじゃろうて。その男とそっちの脂肪の塊ぶら下げてる小娘なんぞ、【魔力を全く感じない】からのう」


エレスティアの言葉に小娘が妙な話を言っている。


オレとユエが魔力ないはずがない。


レベルも4桁、MP魔力量は億の大台を超えてるから間違いないはず。


「……ああ、なるほど」


ユエが納得した素振りを見せる。


「なんじゃ、詐欺してたのを認める気に「カイト、この外見年齢詐欺ロリババアにもわかるよう、魔力を抑えてあげて」誰が年齢詐欺ロリババアじゃと!」


ユエに言われたので取り敢えず意識して魔力が漏れてるのを抑えるようにしたら、娘が徐々に顔を青ざめさせてへたり込み、食堂にもかかわらず失禁し始めた。


「ば、バカな、龍種とエルフと妖狐の血を引く大陸最高峰の魔力量を誇る妾より上……!?」


「何その魔法強そうな種族欲張りセット。……いや、普通に主神筆頭にした神々とか、たまに時代間違えたように生まれてくる規格外連中がちゃんと鍛えて育てればオレたちより強いし(プレイヤーより強いNPC)、研鑽積み重ねた天才はオレたちより上なんてザラだぞ」


「……バカ……な……!」


呆然としたあと、キッとこちらを睨みつけると


「コレで妾に勝ったと思うなよ!」


とか言っていなくなってしまった。


「……どういうこと??」


ユエが代表するようにオレたちの困惑を口にした。


しかし、生まれたての子鹿みたいに足ぷるぷるしてたのに良く動けたなという感想と、水溜り()を後始末せずにいなくなるなよという突っ込みが行き場を無くしてしまった。


行き場のない思いは消化不良のまま、消えていく。


「取り敢えずクリーンしておこう。臭いも換気して無かったことにしとこう」


ユエの言葉で食堂の窓がいくつか開き、風が流れ始めると同時に水溜り()も姿を消した。


生活魔法って便利だなぁ……。





――*――*――*――



【Side:???】


「リエル様ー? リエル様ー?」


反応がないので鍵開け使って開けて入るとそこにはベッドの上で丸くなってる話が主が居た。


「どうしたんです? 挫折したような顔なんて何年ぶりですかねぇ」


私の身体の言葉にビクッとしたあと、こちらを見るマイマスター。


「……ステラ〜! 妾より上の奴が、二人も〜!」


私に抱きついてきたマスター。


「……硬い」


「半自律式の魔導人形に何を求めてるんです???」


肌とか骨格とかパッと見、人によく似た感じになっているが、中身は魔法と科学で動くからくりなのだから無理もないと思うのだが……。


「うぅ……」


「取り敢えず服着替えてください。その間にベッドのシーツ等を取り替えてもらいますから」


「……あっ」 


どうやら粗相してることさえ頭から色々吹っ飛ぶほどの格上に遭遇したということでしょうか。


……マスターより格上……想像できませんね……。


というか、その人指名依頼出した人では?


取り消しに行かないと依頼受注されて顔合わせることになるような……まあ、マスターが気が付かなければそれはそれで面白そうなので放置しておきましょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る