九十九異能者物語 "鍍磊"

白木飛鳥

第1話「記憶」

はるか昔・・・。私は空を飛んでいた。いや逃げていた。


「ふぅ、、、ここまで来たらもう追手は来ないかな。おや、あそこによさげな休憩所があるな。あそこで少し休むとするか・・・。」


私は、とある島の山を見つけたのでそこで眠りについた。

忘れていた。私は龍である。


とある気温が暖かい日。


「ふぁぁぁ・・・。よく寝たぁ・・・。ん???」

「おぉ・・・。起きたか。ずいぶん長く寝ていたなぁ。俺が引っ越してきてから初めてだからな・・・。220年は寝てたな・・・。」

「ほぉ。お主・・・。私と話せるのか。人間のくせに・・・。」

「まぁな。俺も人間だが最近は、動物に近いわな。生れたころの知り合いは全員死んだしな。まぁそれも俺の【異能力】が悪いんだけどな・・・。」

「【異能力】??それはなんだ??」

「まぁ龍のお前さんには当たり前かもしれないが・・・。とある時がきっかけで俺ら人間は人が持たないはずの能力。火を出したり、空を飛んだりできるようになった。」

「そうなのか・・・。それができて何か変わったことがあるのか??」

「まぁずいぶん、争いごとや戦争は増えたな。俺も戦争から帰ってきたくらいだ。」

「そうか。人間というのは進歩がないのう。」

「そうだな。ちなみに、ここの山でお前さんは眠龍(ねむりりゅう)としてまつられている。龍が起きたことがばれればいろいろとめんどくさいことになるだろう。」

「勝手にそんなことをしおって・・・。それで??なにをしたらいい??」

「まぁ、俺のような姿にはなれるのか???」

「やってみようか。」

「その間に俺は準備をしてくるよ。」


目の前にいる男の言うとおりに人間の姿になってみた。


「へえ、やっぱり女性だったのか??人間の歳でいうと22くらいか??」

「そうだな。まぁ、それくらいだろう。実際には、いくつかはわからないが・・・。」

「よし・・・。じゃあ、今日からは俺の家のこっちの部屋で住むといい。あとは・・・。ここの家はあまり人が来ない。安心してくれ。」

「いいのか??まつられてる龍を匿っただとかはないのか??」

「まぁ、大丈夫だろう。今は、近くで戦争もやっていないからここに来る奴は少ないさ・・・。まぁ来たとしても・・・大丈夫だろう。」

「そういうものなのか・・・。まぁ、ありがとう。人間の男よ。」

「あぁ。ちなみに言っておこう。俺の名前は、水波清澄(みなみせいと)だ。なんて呼んでもいいが一応伝えておくから好きにしてくれ。」

「あぁ、わかった。よろしくな。清澄。」


それから私たちはしばらくこの山の清澄の家で過ごした。


とある日が昇るのが早くなった初夏。


何か外が騒がしい。窓から外を見ると同じ服を着た集団がいた。

清澄がその集団と話しながら笑っていた。


「おお。起きたのか。おはよう。」

「おはよう。清澄。これは何の集まりだ???宗教か??」

「水波さん、こちらの女性は???水波さんの娘さん???」

「いえいえ、この人は・・・。親戚の女の子です。名前は・・・・。龍の華って書いて龍華さんです。訳があってしばらく預かっていてね。」

「あぁ、そうなのね。何か困ったり頼ってね。龍華ちゃん。」

「あぁ、よろしく。」


その日の夜、清澄は食事中に謝罪してきた。


「どうしたんだ??なにかあったか??」

「いやぁ、勝手に名前を付けてしまった。龍とか怪異に名前を付けるとよくないってどこかで聞いたことがあるからな・・・。」

「あぁ、そんなことか。大丈夫だ。慣れてるからな。あとは、とてもいい名前だ。龍華と私もこれからは名乗ることにしよう。」

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