伊賀の里、掟 二話

 急に呼び出された、その人物が何者かも分からず、数人の男達から身体を押さえつけられてしまった。


「何しにきたのだ、ここがどんな所が知っておるのか」

「人を探しにきたんだ」

「ここにはお前の知り合いなぞ、いないぞ」


 強く厳しい声が頭上から響く。


「嫌、私を育ててくれたまつ、まつに会いたい、まつと三次がいるはずだ!」

「三次……」

 頷くと少し考えてる様子。

「三次……は三島に、仕事でいる」

「そうなのか、ならばそこに今から行く」

 離して欲しいと身体をゆすって抵抗する。

しかし、険しい顔で許されそうにもなかった。


「そこへ行かせてくれ!まつがいるはず!」

「駄目だ、掟ではぬしはここから出る事は無理だ!」

「何故だ!」

「里に入ったら、出る事は出来ない」

「関係無いから、いいだろう」

「嫌、無理だ」

「そんな!」


 そのまま、裏の囲いの檻の中に放り込まれてしまった。

それから数日があっという間に経った。



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