第2話 彼女
最近彼女の様子がおかしい。一緒に帰ろうと聞くも、断られる。浮気かと僕が疑いたいくらいだ。今度遊びに誘おうと思った。
「※※※、明日海で遊べる?」
「あ、明日!? べ、別いいけど…」
「やった! じゃあ10時に駅に集合な!」
彼女は終始置いてけぼり感が強かったが、それを押しのけて強引に誘うことができた。
ついに、彼女の、水着姿を見れとワクワクしていた。そして、少し待つと彼女が大きな麦わら帽子を被って現れた。
「じゃ、行こっか」
「うん」
「ふ、服。可愛い」
「あ、ありがとう」
照れくさかったが、彼女はすごく喜んでくれてよかった。
電車の中に日の光が入り、暑くなる。真夏の昼を感じる。今年もより一層暑くなるらしいし、もうすぐ秋だが夏の終わる気配が無い。来年は、どんな夏が待ってるのか。また、来年も彼女と海に行きたいな。
そうやって、ぼーっとしていると目的の駅へ着いた。
「海久しぶりだー」
と、彼女が言った。
「え、そうなの? 俺は夏休みに行ったなー」
「へぇ~、そうなんだ。とりあえず、私水着に着替えてくるね」
「あ、うん。了解!」
そういってそれぞれの性の更衣室へと向かった。
彼女の水着姿を期待して、僕も水着に着替えた。
そこから、二人とも無邪気に海で遊んだ。遊んで、遊んで、話して、食べて、遊んで…そうするとあっという間に時間が過ぎた。
「※※※、来年も『海』行こうね」
「うん、絶対ね!」
そうして、夕日に照らされながら二人で手をつないで帰った。
月曜日に登校した彼女は全身がビチョ濡れになり、水滴を地面に垂らしながら歩いていた。
僕は慌てて彼女に駆け寄る。
「大丈夫? どうしたの?」
そう聞くと、彼女は
「大丈夫。大丈夫だから」
そして、彼女は僕を強引に押し切って席に着いた。
それが数日続いた。
「帰ろう」
「いいよ」
静かに歩く。一歩ずつ確実に。
いつもとは違う道を歩く。
「ねぇ、何か話してよ」
「うん、昨日とかどうし――」
※※※は優しい音色で、僕の言葉を遮る。
「もっと楽しい話にしてよ」
僕は思いつかなかった。そんなことを想像できなかった。沈黙の時を断ち切るように、彼女が口を開く。
「大好き」
「僕もだ」
そう言うと、安心したように褐色に変わった顔の僕にキスをした。
「ありがとう」
「どういたしまして」
しばらく歩くと、前に線路が出てきた。既に踏切は降りていて、待とうと足を止めたが彼女は足を止めなかった。
「お、おい! 何やってるんだよ」
「※※※※もきなよ!」
「何バカなこと言ってるんだよ! 戻ってきてくれ」
そしてその場に膝をついて
「戻ってきてくれ」
そう、祈ったが変わらなかった。
電車の音がどんどん近づいてくる。
「※※※※、だーいすき!」
俺はもうすでに泣いていた。ああ、神様。どうにかならないのか。彼女を生かすことはできないのかって
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます