逆に、学校1の美少女が気になる人を落とすような話
滝行
第1話
私、十月 十香(とつき とおか)は読書が好きである。理由は単純、一人で出来るから。それに、ゲームやテレビ等は長時間続けると叱られたりするが、読書は基本咎められない。
邪魔が入りにくい、これもまた読書の魅力の一つだろう。休日に本を片手に行きつけの喫茶店でのんびりと本を読む。我ながら贅沢かつ最高の休日となる筈だった。
「ねぇ君、この後遊びにいかね?」
……この男が現れるまで。
気分を害されて腹が立ったのでとりあえず無視しておく。
私は思うのだが、死体が消えたトリックの9割方はそもそも生きてて姿をくらまして暗躍する真犯人説は立証されてもいいくらい使い古されている気がする。
「駅前のカラオケ行かね?俺これでもめっちゃ上手いって言われてんだよね」
動機はぽっと出の肉親を過去に殺されて〜みたいな展開も正直胸焼けしそうなほど見飽きてきた。
きちんと過去の事件と紐づけてストーリー性を持たせるならともかく急に読者視点だと初見の人間が数年前に殺されてました。私復讐します!等と言われると物凄いモヤモヤするのだ。
「うし!じゃあ行こうぜ」
私は何処にも行くつもりはありません。お好きにどうぞ。
無視すれば勝手に立ち去ると思っていたのに私が思った以上にこれはしつこいようで私の腕を掴もうと手を伸ばしてきた。
下卑た汚らしい手が私の腕に触れる直前、カウンターからスイーツが提供された。
「お待たせ致しました。ご注文のカラメルプリンです」
「……」
私は注文をした記憶が無いのでこの男が注文したのかと思ったが、機嫌が悪そうに眉を顰めたのを見て違うと判断した。
つまりはこの店員さんが助け舟を出してくれたのだろう。
心の中で感謝しながらその芝居に乗っかる事にした。
「ありがとう。早速頂こうかしら」
「ごゆっくりどうぞ……それで、そちらのお客様はお会計でしょうか?」
「えっ……あぁ、そうだよ。早くしてくれ」
この店に相応しくない低俗なナンパ男は店員さんに連れられレジの方に向かっていった。
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