第4話 脅し
そんな乙川を追いかけてきたのは、大臣と呼ばれていた中年の男性だ。
振り替えた乙川は彼を睨みつける。
彼は全く反省することなく、言葉を捲し立てる。
勇者様に危険はありません。勇者様には、特殊な力があるので、ただその場にいてくださるだけで、よいのです。立ってるだけでいいですから、他の人が戦いますから。
と。
大体右から左に聞き流していたが、乙川の表情は見る見るうちに変化していった。
だが、3分を超えたあたりで限界がきた。
「俺の名前は乙川乙女だ。勇者様なんて名前じゃない。この世界の人間は失礼なやつばっかりみたいだな。関係のない人間を巻き込んでおいて、申し訳なさそうなふりすらもできないのかよ」
すると、その男性は口元に弧を描きながら、喋る。
「申し訳ありません、乙川様。私の名前は、バースト・ドルクネスともうします。
この世界の未来を思うばかり、つい失礼な態度を取ってしまいました。どうか、お許しください」
バーストと名乗った男性は謝罪する。
しかし彼の目は笑っていなかった。
「話は変わりますが、何かお困りのことがあれば、私にご相談ください。ドルクネス家には、腕のよい兵士がおりますので、おいたをしたものにはきついお灸を据えておきますよ」
バーストがそういった後、どこからともなく、黒装束の人間が乙川の背後に出現する。
しかし気配は、数秒ですぐにその場からきえさった。
「前言撤回だ。あんたたち、最悪だよ」
勇者らしくない振る舞いをしたり、彼らのいにそぐわない行動をとれば、消される可能性があるということを伝えてきたのだ。
乙川は彼らの手のひらの上で踊らされるしかない。
「勇者とやらになればいいんだろ。で、魔王を倒せばいいのか?」
乙川は苛立ちながら、相手の要求を確かめる。。
「ええそうです。先程も説明したとおり、魔物の王が暴れていましてね。ぜひ、元の部屋に戻って続きを説明させてくださいい」
仕方なく、乙川はもとの部屋に戻って、これからやるべきことを聞かされるはめになった。
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