第2話 かわいいやつ

 俺は手淫する相手を選ばない。男女問わず、一人でも多く俺の手で気持ちよくさせたい。その一心で俺はこれまでも、そしてこれからも手淫し続ける。



 0時を回る頃、都内某区のラブホテル前にて、俺は人を待っている。俺の動画を見たものが、俺の超技巧テクニックを味わいたいと俺に依頼をしたのだ。もちろん俺は受けて立つ。数多の者たちに性の悦びを授けるために。そう決意を固めた直後、男の声が俺の意識を現実世界へと引き戻す。

「もしかして、あなたが髙橋さんですか?」

俺を呼ぶ声のする前方右を見ると、そこには会社帰りと思しき、スーツを着崩した180cm前後の男が佇んでいた。髪型はサイドパートで、爽やかな印象を受ける。二十代後半だろうか。想像より若い。

「そういうあなたはきゅるるん泣きぼくろさんですね。見かけによらず可愛いお名前ですね。」

「このなりできゅるるん泣ぼくろなんて似合いませんよね。改めてそう呼ばれると自分でも笑っちゃいます。」

きっちりとしたサラリーマンが、可愛らしいユーザーネーム相応な可愛らしい笑みを見せた。気さくで人懐っこい人だな。

「立ち話もなんですし、早速入りましょうか。」

「分かりました。」

俺はホテルの入口である自動ドアを指差し、二人で入口へと向かった。



受付を済ませて俺たちは案内された部屋へ入った。形は刺々しくも、煌びやかで美しいシャンデリアが、淡い光で俺たちを照らす。程よい薄暗さでムードはバッチリ。素晴らしい快感を味わうには、舞台の雰囲気も十全でなくてはな。

「仕事で疲れたでしょう。早速座りましょうか。あ、それともシャワーからにしますか?」

「先にシャワーを浴びようと思います。少し汗ばんでいるので、このままじゃ髙橋さんに迷惑でしょうから。」

きゅるるんさんは困り笑顔を浮かべながら両手をひらひらさせる。

「わかりました。心の準備もあるでしょうし、ごゆっくりどうぞ。」

「なんかすみません、では失礼しますね。」

きゅるるんさんは、スーツを脱ぎながらシャワールームへと向かった。

きゅるるんさんが上がるまで、ベッドに座って待つとするか。



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手淫マスター髙橋 カトバ @kastobax

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