クリスマスを彼女と(「G’sこえけん」音声化短編コンテスト)

水曜

第1話

(玄関チャイム・ピンポーン)


彼女(小声でワクワクした感じ)

「……あれ? まだ出ない……。あっ、ドア開いた!」


(ドアが開く音、外から冷たい風が入る)


彼女

「メリークリスマス! やっほー、来ちゃった!」


(ガサガサ……ケーキの箱と袋を抱えて入ってくる音)


彼女

「ふぅ……重かったぁ。ケーキとね、プレゼントと……あとコンビニで買ったお菓子。ほら、袋いっぱい!」


(袋を置く音、ケーキ箱を机に置く音)


彼女(少し照れ笑い)

「え? そんなに? だってさ、一年に一度のクリスマスだよ? 張り切らなきゃ損でしょ?」


(マフラーを外す、コートを脱ぐ布擦れ音)


彼女(息を吐いて)

「はぁ~……さむい。手、冷たくなっちゃった……。ほら、さわってみる?」


(手を差し出す音、しばらく間を空ける)


彼女(小声で耳元に囁くように)

「……ね? 冷たいでしょ? あっためて……?」


(彼の手に包まれる想定で間をとる)


彼女(嬉しそうに)

「ありがと……。んふふっ。あ、でもそのままじゃ私が凍えちゃうかも。もっとぎゅってしてくれてもいいよ?」


(わざとおどけて言う)


(部屋の奥に歩いていく足音)


彼女

「うわっ……! 危ない!」


(ドタバタッ、靴を脱ぐときにバランスを崩す音)


彼女(慌てて)

「ちょっと! 今見たでしょ! 転びそうになったの! 笑わないでー!」


(ぷんぷんしたように)

「クリスマス早々、私のドジをプレゼントしちゃった……ってやかましいわ!」


(リビングに入る音)


彼女

「でも、ほら! ケーキ無事だったからセーフ。箱、へこんでないでしょ? 奇跡だよ奇跡!」


(机にケーキ箱をトン、と置く音)


彼女(ワクワク)

「ねえ、あとで一緒に食べようね。ちゃんと二人分のフォークも用意してきたの。……百円ショップで買ったやつだけど!」


(椅子に腰を下ろす音)


彼女

「ふぅ……あったか~い。やっぱりお部屋っていいね。外、カップルだらけだったよ。イルミネーションの下で写真撮って、チュッチュして……。あ、別に羨ましいとかじゃないし? べつに、ね?」


(少し拗ねて)

「でもさ……こうして二人で過ごすの、私は一番特別だと思ってるんだよ?」


(耳元で小さく)

「だから……ありがと。呼んでくれて」


(コートを畳む音)


彼女(楽しそうに)

「あ、そうそう! 今日はちゃんと計画立ててきたんだから。まず、ツリー飾りつけして、そのあとケーキ食べて、ゲームして、映画観て、夜更かしして……ふふっ。ね、最高でしょ?」


(少し間をおいてから、いたずらっぽく)

「……途中で私が寝落ちしても、怒らないでよ?」


(バッグをゴソゴソ漁る音)


彼女

「あ、そうだ、これ! ほら見て! じゃーん! トナカイのカチューシャ!」


(カチューシャのバネがピョコっと鳴る音)


彼女(誇らしげに)

「コンビニで見つけて即買いしたの。これ付けて一晩過ごしたら、絶対楽しいと思わない?」


(急に近づいて)

「ほら、あなたにも似合うと思うんだよねぇ~。……ちょっと動かないで?」


(カチューシャを頭に付ける音)


彼女(大笑い)

「あははっ! 似合いすぎ! もう完璧にトナカイ! 私のサンタとトナカイごっこ、成立しましたー!」


(彼の反応を見てクスクス笑う)


彼女(少し小声で甘えるように)

「ねえ……ほんとは私、こういう時間が欲しかったんだ。ドジったり、笑ったり、甘えたり……。外だと恥ずかしいけど、ここなら全部できるから」


(耳元で囁く)

「……今日は、ずっと一緒にいてね」


(しばらく沈黙して、暖かい空気を感じさせる)


彼女(照れ隠しに慌てて)

「あっ、でも! まずはケーキね! ね、食べよう! 甘いの大好きだから!」


(ケーキの箱を開ける音、フォークを取り出すカチャリ音)


彼女(はしゃいで)

「よしっ! クリスマスイブパーティー、スタートですっ!」

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