【カクヨムコン11】進化し過ぎたAIは、人類を支配する。

夏目 漱一郎

 プロローグ~純国産AIロボット、A.R.K.(アーク)

【 本作品はフィクションであり、登場する人物・団体・企業・医療機関・

AI技術・事件などは実在のものとは一切関係がありません。また、

現実の医療・AI技術に対する評価や批判を意図するものではありません。 】


 ――西暦2030年 東京――


 この日、都内のホテルで開かれた記者会見には、テレビ・新聞・雑誌等の主要なメディアの記者達が集められ、この会見の主役であるベンチャー企業『AIキャピタル』のCEO・真田亜紀夫さなだあきおの第一声を待っていた。


 フラッシュが絶え間なく瞬く会場の空気は、期待と緊張で張りつめていた。真田の隣には、高さ1メートル程のオブジェのように二つの物体が白い布を被せられて置かれている。おそらく、この布の下に今回の記者会見で発表されるAIキャピタルの新製品が隠されているのだろう。真田は自信に満ちた表情で記者達を見渡した後、その白い布に手をかけた。


「大変お待たせいたしました。これが、我がAIキャピタルが自信を持って皆様にお届けする、AI。その名も『A.R.K.(アーク)』です!」


 真田が白い布を鮮やかにひるがえすと同時に、会場に詰め掛けたメディアの全てのカメラから嵐のようにフラッシュとシャッター音が浴びせられる。その先には、今しがた彼から紹介された二体のAIロボット、A.R.K.(アーク)の姿があった。


 その大きさは1メートル20センチ。ヒト型の艶消しの白い陶磁器のようになめらかな上半身があり、その下を車輪の付いた円盤状モビリティユニットが支えていた。ヒト型の部分は白色で唯一目の色だけが一体は薄青色、もう一体は薄いピンク色に灯りそれぞれ男性型と女性型に別れている。目がピンクの方の個体は、上半身も女性を模した丸みのある形状をしていた。


『本日【AIキャピタル記者会見】にお集まりの記者のみなさん、こんにちは。わたしがAIキャピタル開発の新型AIロボット、アークです。どうぞよろしくお願いします』


 男性形状のアークが首を細かく左右に揺らしながら身振り手振りを交えて記者達に挨拶をし、隣の女性形状のアークが可愛らしく手を振ると、会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こった。



*    *    *



「真田CEO。そのアークの価格はどのくらいになるのでしょう。そして、販売はいつから始まるのでしょうか」


 予定調和とも思えるその記者の質問に、AIキャピタルのCEOでもありチーフエンジニアでもある真田亜紀夫さなだあきおは、自信にあふれた表情で淀みなく答えた。


「価格は、一体100万円を予定しています。これは、アークの高性能な実力をかんがみれば決して高い買い物ではありません。むしろかなりリーズナブルな価格設定だと云えるでしょう。しかし、消費者の皆さんの殆どはまだそれを判断できる程、このアークの本当の実力をご存じありません。ですので、AIキャピタルは我が社にモニターのご応募いただいた消費者の方の中から、厳正なる抽選のうえ、限定5名様だけにと思います」


 『百万円のアークを無料で贈呈』という真田のサプライズ発表に、会場からは大きなどよめきと拍手が沸き起こった。このインパクトが及ぼす今後の市場へのイメージアップを考えれば、AIキャピタルにとってこの程度の出費はかなりと云える。


 AIキャピタルCEO真田によるアークの発表記者会見は、大方彼の意図通りに進み、取材に訪れた記者達の評判もまずまずの高評価だった。会見終了後、『東京経済新聞』の林田守はやしだまもる内海健司うつみけんじは、初めて目にしたアークについての感想を口にしていた。


「いや、あの女の子の方のアークはなかなか可愛かったよ。手なんか振っちゃったりしてさ」


「俺は、あのアークの能面みたいな無表情の顔が何か不気味だったね。何考えてるか分からないっていうか……」


「何考えてるか分からないって、に決まってるだろ。いくらAIだって、所詮はロボットなんだからさ」


「それもそうだな。AIも便利だけど、よくわからない事が多いよな」


 そんな会話を交わしながら、林田と内海の二人は会場を後にした。その背中をアークの薄青色の目がわずかに追っていた。



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※この作品を手に取って下さり本当にありがとうございます。

こちらの作品は【カクヨムコン11】エンタメ総合部門の応募作品となっています。完結保証、プロローグ、エピローグを含め全41話、毎日1話投稿で連載の予定です。今後も続きを読んでみたい、応援してみたいと思って下さる読者様は是非とも作品フォローをお願いします。 にいただければ幸いです。  夏目漱一郎

(次回第1話、12月2日AM6:12予約投稿)





 

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