この声が、きみを壊す

@Kawanami_Yukitoshi

禁忌のノート

//SE 古い木製のドアが開く音

//SE 足音

//SE 椅子が回転する音


「いらっしゃい。……って、あれ?きみ、久しぶりじゃない?」


「こんな放課後に、部室まで来るなんて珍しいね……ふふっ、さては、私に会いに来たのかな?」


「違う?ふーん……じゃあ何?オカルト研究部の部長で、才色兼備で、学園のアイドルでもある……」


(得意げに)

「この、早瀬咲ちゃんに相談ごとかな?」


(首を傾げて)

「え?自分で言うなって?……じゃあ、きみが言ってくれる?」


(笑いながら)

「ふふっ……冗談よ。そんな困った顔しないで」


「じゃ、本題に入ろっか。変なノートを見つけたんだったよね?」


//SE  椅子を引く音


「で、これがそのノート?」


//SE  ページをめくる音


「……っ、これは──」


(慌てて)

「ねえ、きみ。このノート、どこで手に入れたの?」


「……失踪したクラスメイトが持ってた?」


(少し考え込み)

「つまり、きみはこのノートが友達の失踪に関わっていると思っているのね……?」


(急に声のトーンを落として)

「このノート、ただの怪談や都市伝説なんかじゃないね……。かといって、呪いや祟り──そういう言葉で説明できるものでもない……」


「簡単に言うとね……」


「これは、『やってはいけないこと』をして、狂ってしまった人たちの記録」


「いわゆる超常現象などとは違って、科学的根拠もあったりするの。だから、とても危険……」


「このノートに書かれた行いは、本当に誰の身にも起こってしまう可能性がある……」


「それでも、読みたい?」


(少し間を置いて)

「……わかった。覚悟はあるようね」


(急に人が変わったように淡々と話す)


「じゃ、読む前にひとつ約束してください。このノートは、読むだけで気分が悪くなることもあります。だからその時は、必ず中断すること。これはメタ表現ではなく、全ての読者に向けた本当の意味での警告です」


(声が通常に戻る)


「読者って?あ……きみは、気にしなくていいの」


「じゃあ──始めましょうか」

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