第3話 あの人
達摩が「おい、お前さ?何でそんなに怒っている訳?」と静江に声を掛けた。
静江が「怒っているって、だって元はと言えば、貴人があんな子(加菜子)をかばうからでしょう?」と達摩に返事をした。
達摩が「それ、嫉妬だろう?お前、貴人の事が好きなのか?」と聞き返した。
貴人が「俺が何だって?」と思わず聴き耳をそば立てた。
達摩が「だから?」と言いそうになって、静江が「うわぁ、辞めてよ。それ以上の事を言うのは」と達摩の口を手で抑えた。
達摩が「何だよ。そんなに俺が話すのが嫌なのか?」と静江に口答えをした。
貴人が「訳わかんねぇ?2人して何が言いたいんだよ」と達摩と静江に話し掛けた。
静江が「え?何も無いよ。ね?達摩」と達摩に同意を求めた。
達摩が「あぁ、そうだな。うんうん」と適当に返事をした。
貴人が「じゃ、良いや。俺の出る幕は無いみたいだしな」と横目で睨んだ。
達摩が「良いのか?お前、貴人が好きなんだろう?」と思わず静江に聞き返した。
静江は「良いのよ。貴人は他に好きな子でもいるのかも知れないし」と達摩に返事を返した。
達摩が「そうか。俺はそう言う他人思いのお前が好きだよ」と咄嗟に口からポロリと本音が漏れた。
静江が「え?今なんて言った?」と達摩に聞き返した。
達摩が「何でもねぇよ。さぁ、勉強を頑張ろう」と両手を上に上げた。
静江が「えぇ?つまらないの。大切な所が全然聞こえなかったよ」と達摩に声を上げた。
そうして、達摩と静江が付き合い始めたのは秋が深まった頃の話だった。
そうして、加菜子は「静江、聞いたよ。達摩と付き合い始めたんだって?」と笑顔で話し掛けた。
静江が「えぇ?何でそんな事を知っているの?」と加菜子に話し掛けた。
加菜子が「だって、周りで静江と達摩の噂が流れているよ」と静江に話をした。
静江が「マジか?そんな事だろうと思ったよ」と加菜子に返事を返した。
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