西東キリムさんらしい読みやすい文体と、物語の緩急、切なさ溢れる雰囲気に終始刺激されながら一気読みしました。
あっという間の旅でしたが、長い旅を終え丘の上で振り返りつつ黄昏ている気分です。
感情の変化、明かされる事実、そして真実の愛の正体。
王子を取り巻く登場人物たちもどれも魅力的かつ個性的で、心の声で語られる心情が物語を引き立てています。
おバカ王子が求め、掴んだのは何だったのか。
王子目線で楽しむのが王道と思いますが、ヒロイン目線で楽しむのも一つの読み方としてアリだと感じました。
ぜひ、ともに旅をして答えを見つけに行きましょう!
物語の具体的な内容は避けます。ぜひ読んで貴方の目で確認して欲しいので。
この物語の主人公は騎士王物語に憧れるライナス王子。彼は真実の愛を求めて魔王討伐を掲げてや旅立つのですが、同行するのはメイドのスージーと、結婚破棄されたばかりのレイリア王女。
こんなパーティーでギスギスしないのかと思うかもしれませんが、そんなことにはなりません。何故ならライナスはいい意味で能天気で、レイリアは自身の目的のために冷静沈着でいられるから。そしてスージーはそんな二人の緩衝材となって、旅を進めていきます。
王道のストーリーをなぞりながら、キャラクター同士の掛け合いは面白く、また心情の描写もしっかりとされているので感情移入もしやすい。そして、なによりも登場人物全員が憎めないキャラクターをしていて好きになってしまう。私は最終的には全てのキャラクターが好きになりました。
中盤勇者と、とある姫が加入するのですがそこから物語は大きく動き出し、一気にクライマックスへ。
最後の二話は幸せな物語の結末を描きながらも、ほのかに胸に残る切なさがあり、とても良い読後感を与えてくれます。
タイトルにも書きましたが、この物語は最後の一文が本当の結末だと思います。なので是非最後まで読んでほしいです。
これは個人的な趣味嗜好の話になってしまいますが、主人公のおバカ王子が素晴らしすぎます。何がって、金髪碧眼といういかにも“王子”らしい美しい容貌であるにも関わらず、言動はひたすら騎士道精神に心酔するポンコツっぷり。さらには、地の文の言葉選びが王子のおバカさを強調させており、読んでいて思わずにやにやしてしまう。
他にも、策略家で頭のキレる姫、戦闘力高い冷静な格闘メイド、闇のある勇者等、個性的かつ魅力的なキャラクターは多く登場します。そんなキャラクター達と王子のやりとりが、テンポ良くシュールで飽きずに楽しく読む事ができます。思わず、現時点での最新話である24話までイッキ読みしてしまいました。
難解な造語も無く、キャラ文芸らしさも感じさせる子気味の良い会話、ライトなファンタジー作品のお手本のような小説。
気が早すぎるとは思いますが、是非とも映像でも観てみたいものですね。声がつくことにより、さらにおバカ王子のおバカさが際立つと想像すると……(*´艸`)
本作の主人公ライナスは、建国神話の物語に影響を受けすぎており、隣国シルフィーナとの婚礼の最中、突如「真実の愛を証明するため」と宣言し、婚約破棄を公言します。
一方でレイリア姫は、政治的な思惑を抱えつつ、旅に同行することになります。
両者のすれ違いがなんとも絶妙で、コメディとして面白いです。
「婚約破棄」「魔王討伐の旅」「伝説の剣」「試練と覚醒」……
どれもテンプレ要素ですが、ライナスが、「建国神話」を現実の攻略本だと信じていることから、良い意味で周囲とのズレが生まれており、それが物語を個性的にする推進力になっています。
ギャグとしてはもちろんですが、同時に普通の冒険譚や成長物語としても面白く、今後の展開に期待が出来ます。
「ライナス・ランドールは! 本日をもってレイリア姫との婚約を破棄」
うん
「……し、旅に出る! 真実の愛を探す旅に!」
うん?
典型的な婚約破棄ものかと思いきや、その理由は衝撃、いや笑撃!
子供の頃から読んでいる英雄の物語に憧れ、魔王を倒して姫を救い出し、真実の愛を得る、それがランドール王国王子ライナスの希望。
対して婚約破棄された隣国シルフィーナ王国のレイリア姫は頭を抱えつつも考えます。このおバカ王子に旅に出させて、その旅に同行した方が婚約破棄をうやむやにして結婚する道と。彼女にとって結婚はあくまで政治。おバカ王子でも小国シルフィーナにはランドール王国との絆が必要。
そんな冷徹な計算の下、実行されることになったおバカ王子の魔王討伐の旅。同行するのはレイリア姫と、ランドールも頭が上がらないメイド長スージー。
3人の旅はどうなるのか? ライナスは魔王を倒して真実の愛?を得ることが出来るのか? レイリアのもくろみは果たせるのか?
3人の旅から目が離せません。
まず、読んで頂けたら想像の何倍も面白いです!
この王子、本物です。
とんでもない方向に真っ直ぐで、伝説レベルで勘違いしてて、それなのになぜか憎めない。
読んでるこちらが“困らされながら笑わされる”稀有なタイプの主人公です。
そして、それに振り回されるレイリア姫。
外では完璧な淑女なのに、内心では常にツッコミと毒舌が渦巻いていて、このギャップが本当に絶妙です。
読むたびに応援してしまいます
この二人の噛み合わなさが物語の推進力なのですが、そこに登場するのがメイド長スージー。
表情一つ変えず、王子の暴走を淡々と止めていくその姿は、物語にしっかり“軸”を作ってくれます。
読者からすると「来たな、この人……」と安心できる存在です。
この三人の掛け合いのテンポがとにかく良くて読み進めていくほどクセになります。
この先、どんな事件が起きて、誰がどこでつまずいて、誰が誰を助けるのか――
それを楽しみにしながら読めるタイプの冒険譚だと思います。
これからの展開も、とても楽しみです。