冒頭の「水無き溺死事件」という強烈な導入から、一気に読者を物語へと引き込む作品。聞き込み、古地図、そして伝承へと繋がっていく展開は、ミステリーとしての推理的な緊張感をしっかりと保ちながら、徐々に異質な領域へと踏み込んでいく構成が巧みである。そして特筆すべきはラストシーンである。物語全体に張り巡らされていた緊張を最後にもう一段引き上げ、読後にぞくりとした余韻を残す。ミステリーとホラーが高い次元で融合した秀逸な一篇です。