いずれ青の魔法使いと呼ばれる俺が、美形のおにいさんに恋した話

ヤマメさくら

プロローグ

 幼いころからよく同じ夢を見た。

 草原を走る夢。

 夢の中の俺は、たぶん幼稚園児ぐらい。草の高さで分かる。

 そしてそこは異世界。

 なぜなら、青空にドラゴンが飛んでいるから。

 俺は立ち止まって、ドラゴンを呼ぶ。

 草の上に降り立つドラゴン。

 俺は振り返って言う。

「おにいたん! いっしょにのろ!」


 おにいたんは、俺より少し年上のようだ。

 小学生くらい?


 おにいたんは、首を横に振って言う。


「……君にしか、のれないよ」


 おにいたんは、寂しそう……、なのか?

 分からない。

 おにいたんの顔は、いつもぼやけている。

 声は元気がない感じだけれど。



 夢は、いつも、そこで終わる。


 でも、俺にはなぜだか確信があった。


 これは夢じゃない。

 空想じゃない。

 実際の、俺の記憶だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る