第5話  放っておけない

健治は「じゃ、僕が売って来たカードは、紗夜の手元にあるんだね」と紗夜に声を掛けた。


紗夜は「うん。でも、健治がそんな事で悩んで居たなんて知らなかった」と思わず口から溢れた。


健治は「しゃーないさ?僕は母親もいなければ父親も離婚して居なくて、託児所で預けられて本当の母親や父親じゃなくて里親なんだよ。だから僕は、本当の母親と父親を知らないし、どんな人かも分からないで生きて来た」と紗夜に過去の事を話し始めた。


紗夜は「じゃ、小さい頃から働いて来たの?母親も父親も居ないなんて辛かったね」と健治の話に肩を持った。


健治は「まー、良いさ。過去の事だし、あまり良い思い出は無いんだから」と紗夜に話をした。


紗夜は「ううん。私、この話を聞いたら健治の事を放っておけないもの。何とかしてお金を稼ぐ方法を見つけないと。そうだ?新聞配達なんてどう?」と健治に話し掛けた。


健治が「それは、良い考えかも知れないね。今度やって見るよ」と紗夜に話し掛けた。


健治はあれから、何も返事も無く、和気あいあいと新聞配達の仕事を初めて責任感と言うものが出て来たのか「あの時は助けてくれてサンキュー。助けて貰えなかったら、きっとあの時僕がやった事を本当の意味で反省できなかったと思う」と紗夜に新聞を渡して話をした。


紗夜が「そう思ってくれたなら良かった。ありがとう」と健治にお礼を言い、ほっぺにキスをした。


健治が「馬鹿やろう。誰かが見て居たら、どうするんだ」と紗夜に照れて本気で怒って居た。


そうして過去の事は2人の笑い話になり、良い思い出になって行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君の芽 ーyour badー 影山 みはつ @mihatsu1865

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ