異世界図書館で読み聞かせ

あおいおばけ

~異世界図書館~

…………

……


「……?」

俺が目が覚めたら知らないところにいた。

「……あ、目が覚めたね。

おはよう……でいいのかな?」

目の前には青い髪で黒いスーツに仮面を付けた性別不明の人?がいた。

確か家の中で寝ていたはずなのに……。

此処は全体的に暗く、近くには本が沢山ある。

「いや~久しぶりのお客様でね、私は嬉しいの!」

と性別不明の人がそう言う。

お客様?

どういうことだ?

「……あの、此処は何処ですか?」

と俺が言うと

「……あ、自己紹介しないとね。

此処は"異世界図書館"っていう場所で、私は此処を管理している存在なの。」

と、ニコニコしながら説明している。

「貴方の名前は?」

俺がそう言ったら、

「先に君が名乗ってよ。」

っと言われたので、

「俺は佐藤だ。」

と苗字だけ言った。

「ありがとうね~

私はきちんとした名前が無いから"司書"とでも呼んで欲しいな~」

目の前の存在は司書さんと名乗っているみたいだ。

「ついでだし、此処の詳細を説明するね!

君のことをさっきお客様と言ったけど、正確には此処にある本達が君を選んだんだよ。」

……は?

「ちょ……ちょっと待ってください、全く意味が分からないんですけど!」

俺は疑問に思ったことを伝えた。

「あ、そっか。意味不明だよね。

えっと……此処にある本は全て魂が宿っているんだよ。

本を読むように、永遠に同じ人生を進んでいる。

そんな人生を描いたのが此処にある本なんだよ。

説明が下手だから分からない事が多いと思うけど……。」

司書さんが言う通り意味が分からないが、最後まで聞いたほうがいいな。

「そんな魂が込められている本が沢山あって、生きている数だけの本があるんだ!

もしかしたら君の人生もあるかも。」

俺の人生が書かれた本があるのか……?

「私はそんな図書館の管理人をしているの。

色々な世界の本があるから”異世界図書館”って呼んでいるんだ~

……で肝心な君が此処にいるのはさっきも言った通りで、理由は何かしらの意味があるんだと思うけどね。

詳しくは私にも分からないや。

本達の心が読めるわけでもないし。」

と、司書さんは困ったように言った。

「そうなんですね。

教えて頂き、ありがとうございます。

もう一つ質問がありまして……。」

と疑問に思っていた事を俺は言う。

「先程まで寝ていたのですが……。

身体は大丈夫ですか?」

「嗚呼、大丈夫だよ。

一応此処は夢の世界判定だから。

……一部の存在を除いてね。」

一部……?

疑問に思ったが聞かない方がいいんだろう。

「……もし良かったら、君が帰るまで読み聞かせしてもいい?」

突然そう言われてしまった。

「突然ですね。

理由を聞いてもいいですか?」

「理由?

此処には色んな人生があるんだし、只いるだけでも暇じゃない?

なら、ついでに自分以外の人生を見て行って欲しいんだよ。」

確かに暇だな……。

「なら、俺が普通に読めば……。」

と、言った瞬間物凄く分厚い本を持ってきた。

「因みに、この本原文ね。」

と分厚い本を指差しながら言ってきた。

「何処から取り出してきたんですか?!」

と、俺が驚いていると、

「君が此処に来る前まで本の整理整頓兼簡略化していたんだ~!

因みに原文も簡略化した本、両方とも私じゃなきゃ読めないよ。

どんな世界の存在でも読むことが不可能な文字だから。」

と、言われてしまった。

「何故司書さんは読めるのですか?」

また疑問に思ったことを言うと、

「知らないよ?

何なら何故私が此処にいるか分からないし。

だけどね、これだけは言える。」

少し間を入れてこう言った。


「私が此処の本を管理しないといけないし、此処から

そんな宿命うんめいを背負って生まれたんだよ。」


……なんだか聞いたらいけない事を聞いたようだ。

「まあ、分身を使えば外に出られるんだけど。」

今の気まずい空気でそんなこと言うか?

どんなメンタルしてんだよ!

「話を戻しますね。

暇になるなら是非ともお願いします。」

一旦話を戻そう

「そう言ってもらえて嬉しいよ!

折角なら、読み聞かせの詳細を説明するね。」

と、紙を持って来て説明を始めた。


~注意事項~

1.読む本は簡略化すること

2.その本の世界へ案内及び説明をすること

3.読者に危害があった場合、直ちに読み聞かせを止めること

4.進行形でストーリーが進んでいる本は簡略化しないこと


「えっと……これは?」

「……間違いました。

私専用のです。」

あ、ミスなんだ。

「と……兎に角、読み聞かせの時は実際に読む本の中に入ってもらう形になるよ!」

と、混乱しながら説明をしている司書さん。

とは?」

「そのままの意味だよ。

……ついでに本の中に入ろうか。

そっちの方が分かりやすくと思うし。」

「え?!」

「今回行く世界は時代が中世ぐらいで、主人公は不死鳥フェニックスだよ!

はい、行ってらっしゃい~」

と言われた瞬間、睡魔が襲ってきた。

抗おうとした瞬間、視界が暗転した。


…………

……


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