キミとボク(ワタシ)の共依存

@CSO

 性癖の「性」の字には、本来性的な意味は含まれない。人の性格であったり行動であったりそんな日々の些細な癖を表す語が性癖なのだ。

 私には性的な意味での性癖がある(ここではあえて誤用である性癖を使う)

 この性癖に気づいたのは小学校四年生の頃だっただろうか。小学生とは純粋である。当時は本気で全員が共感してくれると思っていたのだ。幸いなことに当時のことを覚えている人はいない、しかし今でも覚えている。あの冷ややかな目線、特に先生からの目線が痛かった。小学生でも高学年となれば多少世間のことを理解し始める頃合いだ、小学生頃の私でも間違ったことを言ってしまったことをすぐ理解できた。

 そして中学生になった、中学校では私は至って普通の学生になることを目指した。その甲斐があり中学校の三年間は本当に普通の学生として過ごせたと思っている。いや、一度だけ私の性癖がバレかけたことがある。あれは文化祭の時のことだった、どうにか誤魔化せたからいいものの今でも思い出すだけで顔が熱くなる出来事だった。

 列車が止まる、ドアが開いた、どうやら着いたみたいだ。今日から私は法律上だけでなく実際に高校生となるのだ。改札を潜った。(定期券も買わないといけないな...)見慣れない新鮮な景色を右、左と交互に首を振りながら眺め、これから約千日間過ごすことになる校舎へと向かった。私が通う高校はあの有名なH区立第一学園・・・の隣にあるAN学園である。学校が隣接しているという状況は意外に多い、有名な高校の隣に少し微妙な高校が立っていることも珍しくない。今回の状況はまさにソレだ、と言っても私がこの学校に通うのは少し理由がある。自慢ではないが、私は頭がいい方だと思う。第一学園のほとんどの人よりも頭がいい自信がある。しかし中学校で普通の人間になることに徹した結果、内申があまり取れなかった。いや、あまりではない。かなりだ。自分でも最後の成績発表で一番多い数字が二であったときは驚いた。正直入りたい高校もなかったので家に近い高校から適当に選んだ。それでも登校するのに二十五分ほどかかる。これは中学校の頃よりも約二倍かかっていることになる。朝起きる時間はより一層気をつけなければならない。

 閑話休題、私の悪い癖だ。すぐに会話が横道に逸れてしまう、最も今は別に誰かと会話しているわけではないが...とまたやってしまいそうになった。今日は入学式だ、さっさと体育館に向かわなければ。体育館は二階にあるらしい、私は階段を一段ずつ登りどこか硬い表情を浮かべている新一年生を眺めながら体育館に向かった。

 入学式はあまり面白いものじゃない、思い出してほしい高校の入学式あなたは何を考えていただろうか。おそらく校長先生や新入生代表の挨拶を聞いて「面白い!!」なんて思った人はいないだろう。入学式が終わることには何を話していたかなどすっかり忘れてしまっているのではないだろうか。私も同じだ、頭の中で色々なことを考えたり妄想しているうちにいつの間にか入学式は終わっていた。

 入学式が終わり私たちのクラスは先生に連れられ教室へ向かった。私は一年四組だそうだ、先生の一通りの自己紹介が終わった(もちろん内容は覚えていない)今度は生徒の番だ、出席番号順に自己紹介が進んでいく。私は7番なのでそろそろ私の番だ。「出席番号7番、大潮 あそぶです。 趣味は読書です。みなさんこれからよろしくお願いします」

 どうだろう、かなり普通の自己紹介だったのではなかろうか。この後はテンプレのようなものが続いた。ふざける人もいたが、それを含めても普通だ。

 ところが、彼女だけは違った「陽山 みのりです。よろしくお願いします。」ずいぶん簡潔な自己紹介だ。だがその簡潔さが逆に目立ってしまっている。事実私も他の人の自己紹介は右から左に流れていくのに対し、この陽山さんの自己紹介は印象に残ってしまっている。この自己紹介だけで少し性格が透けて見えるような気がした。

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