新米社会人転生!出向元”浄土”の権力でチート采配、地獄をホワイト企業化!
穂向 俊亮
プロローグ
俺は鬼頭悟。
ただの新米サラリーマン……のはずだった。
毎日、部長に怒鳴られ、胃薬片手に数字を合わせ、
心が擦り切れていくのを「これが社会人ってやつか」とごまかしていた。
だがある夜。
關(かんぬき)部長にそっくりな地蔵を、とうとう蹴り飛ばしてしまった。
その瞬間——目の前が真っ暗になり、次に気づいたとき俺が立っていたのは、鉄と血の臭いに満ちた「株式会社地獄」の正門だった。
門の奥に広がっていたのは、狂気じみたオフィスだった。
鬼たちが山積みの書類を抱え、炎のプリンターに突っ込み、赤い汗を垂らしながら怒鳴り合っている。
壁には〈贖罪第一〉〈効率化徹底〉〈残業無限〉と書かれた横断幕。
針山のデスク、血の川をまたいで通勤する廊下、業務中も鎖を振り回す上司。
……おまけに、タイムカードを必死に叩く鬼の列。全員まじめに打刻しているが、刻印は“永劫残業”
そして俺の首には、冷たい金属の札が揺れていた。
《ヘルワーク課 懸衣翁(ケンエオウ) 部長 ※浄土出向》
……部長? 俺が?
しかも浄土出向?
その一文が、この地獄での俺のすべてを変えることになった。
小鬼の怯えた視線。
針山に立ち尽くす無数の背中。
十王の怒号。
そして、社長席に座る“あの顔”。
現世で身につけた地味な総務人事のスキル。
それが浄土の権威と結びつき、絶対的な“チート采配”に化けていた。
俺は思った。
——順番にいこう。
配属を見直し、評価を透明にし、休憩を制度に変え、ブラックをホワイトに塗り替える。
人事総務の札一枚で、この地獄のオフィスをまるごと書き換えてやる。
それが、俺のもう一つの社会人生活だった。
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