ダンジョンボスに転生、人類の敵
@ROmrun
第1話
薄暗い迷宮の最奥にある広間で、私は膝を抱えて座っていた。
営業車で居眠り運転さえ起こさなければ...。
かつては真木悠斗という名の平凡な日本人だった男。
今では身長2mはあろうかという大柄な肉体と長髪、そして一つ目を持つダンジョンボスとして、この地下深くに配置されている。
「また今日も誰も来ない……」
独り言が虚しく反響する。この場所に来てからもう一ヶ月ほど経つが、人はおろか生物の気配すらない。
せっかく魔神による1000年剣豪育成コース(強制受講)を終えたというのに...。
そうやって独り言をブツブツ言いながらそこからさらに2ヶ月が経った時だった。
俺の人外耳が扉の遥か向こうにいる人の声を聞きとった。どうやらこっちに向かってきてるらしい。
初めてのお客さんだ。この見た目のせいで化け物扱いされるだろうが、フレンドリーに接して敵でないことをアピールしなければ!
腰にさした
そして胡座をかき、冒険者たちを待つ。
ギギッ
扉が開き中から男女半々の集団6人が出てきた。
「っ!見たことない種類です!それに禍々しい魔力...皆さん!注意してください!」
金髪の白い装束に身を包んだいかにも回復職っぽい格好の女がそう言うと、これまたバフとか掛ける系の支援職っぽい男が呪文を唱えた。
『ガード・エンチャント』
呪文の影響か、パーティー全員が青いオーラを纏わせている。
まだ一言も話してないのに、もうやる気満々だ。
だがこちらはそうではない。フレンドリーに話しかけてレッツ友好と行こうじゃないか...!
(始めまして!誤解させて申し訳ない。こんな見た目だけど人間に敵意はないんだ!どうか落ち着いて話し合いませんか?)
「......姿を見ただけでその慌てよう......赤子でももっと落ち着きがあるぞ......」
「......赤子らしく......あやしてやろうか?」
は?
次の瞬間、剣を持った赤髪の男が10m以上あった距離を一息で詰め、斬り掛かってくる。
背後の自骨刀を反射的にとってしまい、これまた反射的に斬り掛かってきてる真っ最中の男の背後に回り込んでしまう。
(わわっ!この刀は誤解で!つい癖で取ってしまったというか!背後に回り込んで斬ってやろうとかそういう気は無くてですね!)
「......ノロすぎて斬る気も失せたわ......」
くぁwせdrftgyふじこlp
あかん口が災いを呼び込んどる。意思に反して口が勝手に魔王ムーブかましてしまう。誰かぁー誤解解いてくれぇー!
これが後に『怠惰の魔王』と呼ばれる魔物との人類の初遭遇だった。
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