Jewel

詩音

序章 モノローグ


ねぇ、あなたにもあったこと、ない?


大人でも子どもでもない、あの頃。

毎日がぼんやりしてて、でも心の奥だけはざわついて。

特別な理由なんてないのに、なぜか忘れられない時間ってあるんだよね。


あたしにも、そんなまぶしい季節があった。

笑って、泣いて、ふくれて、転んで――

ただの男の子と女の子でいられた日々。


思い返すと、そのまぶしさに、今も胸の奥がきゅっとなる。


あたしが「あたし」になっていく、

その途中の日々の、ほんの一コマ。

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