第二十話「交わされる愛の誓い」
互いの想いを確かめ合った夜、僕とゼノンは自然な流れで一つのベッドの中にいた。
月明かりが差し込む薄暗い部屋で、隣に眠る彼の体温を感じるだけで、胸がいっぱいになる。
「エリオット……」
ゼノンが、熱っぽい声で僕の名前を呼ぶ。僕が彼の顔を見上げると、彼の金色の瞳が、燃えるような情熱をたたえて僕を捉えていた。
その瞳に見つめられるだけで、体が熱くなる。
「……お前を、俺だけのものにしたい」
その囁きは、甘い呪文のように僕の理性を溶かしていく。
僕は、小さく、しかしはっきりとうなずいた。怖いという気持ちは、不思議となかった。愛するこの人に、全てを捧げたい。心から、そう思った。
ゼノンの唇が、僕の唇に優しく触れる。最初は触れるだけだったキスは、次第に熱を帯び、深くなっていく。
彼の大きな手が、僕の服をゆっくりと剥がしていく。露わになった肌に彼の指先が触れるたび、ビクンと体が震えた。
「……綺麗だ……」
恍惚としたゼノンの声が、耳元で響く。
初めて見せる僕の全てを、彼は宝物のように、一つ一つ確かめるように愛してくれた。
彼の逞しい体、力強い腕、僕を求める熱い眼差し。その全てが愛おしくて、僕も彼の背中に腕を回し、夢中で彼の名前を呼んだ。
運命の番同士が結ばれる時、魂が満たされるような感覚を味わうという。
まさに、その言葉通りだった。
彼と一つになるたびに、体中を幸福な痺れが駆け巡り、僕と彼の境界線が溶けて一つになっていくような錯覚に陥る。
僕の甘いオメガのフェロモンと、彼の力強いアルファのフェロモンが混じり合い、部屋中がむせ返るような愛の香りで満たされていく。
絶頂が訪れた瞬間、ゼノンは僕のうなじに鋭い牙を立てた。
ズクリ、とした痛みと共に、彼のアルファとしての本能が、僕の体に流れ込んでくる。
これが、『番の証』。
これでもう、僕は永遠に、ゼノンだけのものであるという、消えない印。
「……愛している、エリオット。永遠に、お前だけを」
うなじの痛みも忘れるほど、彼の言葉は甘く、僕の心を震わせた。
「……僕も……愛して、います……ゼノン……」
涙で濡れた声でそう答えるのが、精一杯だった。
番の証を刻まれた場所から、言いようのない多幸感が全身に広がっていく。
僕たちは、名実ともに、永遠に結ばれたのだ。
この夜、僕たちは何度も体を重ね、夜が明けるまで愛を交わし続けた。
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