第4話 君の見ているものを私も見てみたいな。できれば君のとなりで。

 君の見ているものを私も見てみたいな。できれば君のとなりで。


 檸檬の頭の上には悪魔の角が出ていたのかもしれない。

 にやにやしている檸檬の小さな唇からは小さな悪魔の牙が出ていたのかもしれなかった。(もしかしたら背中には小さな悪魔の羽があって、お尻には小さな悪魔のしっぽがあったかもしれない)

 あいかわらずいじわるだな。檸檬は。(可愛いけど)

 とそんなことを結局、いちゃいちゃしながら林檎は思った。(やっぱりみんな見てるし)

 檸檬はちらっと桃を見た。

 でも桃は全然檸檬のことを見ていなかった。

 蜜柑は少しだけこっちを見ていたけど、桃はずっと蜜柑だけ見ていた。

 そのことがとっても檸檬には不満だった。

 結構、激しくいちゃいちゃしたから、みんな(舞台を見ている観客)の目はこっちに向けられたけど、桃の目は向けられなかった。

 そんなことをしていると教室に担任のめろん先生がやってきた。

「おはようございます。みなさん」

 めろん先生の明るい笑顔と声の挨拶で、みんなはいつものみんなに戻って、「おはようございます」とめろん先生に挨拶をして、教室もいつもの教室に戻った。

 檸檬も真面目に授業を受けた。(根っこは真面目なのだ)

 そしてお昼休みの時間になった。

 檸檬は大きな椅子の上にあぐらをかいて座っている。(それは同じ顔をしている双子のお姉ちゃんの天使の桃なら絶対にしない座りかただった)

「檸檬。みっともないよ。下着見えちゃうよ」

 檸檬と一緒に豪華なお肉とパンのお昼ごはんを食べている林檎はいい香りのするあつあつのパンをちぎりながら、あきれた顔をしてそう言った。

「ここには私と林檎しかいないんだからいいでしょ。別に」

 と小さな子供がする面白くないって顔をしながら檸檬は言った。

 二人は学園の食堂にある個室で、二人だけでお昼ごはんを食べている。

 きっと今ごろ、桃は蜜柑とどこかで二人だけでお昼ごはんを食べているのだろうなって思うと、なんだかなにを食べても、檸檬はごはんが美味しいとは思えなかった。贅沢だけど。(この柔らかいお肉は本当はとっても美味しいんだろうけど)

「檸檬。私を見て」

 ぼんやりとフォークとナイフを動かしていると、そんな林檎の声が聞こえた。

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