視覚情報である色を用いて登場人物の複雑な心理状態を描写する手腕が見事です。
彩眼という血統魔法を通し、言葉とは裏腹の感情や隠しきれない本性が赤や濁った紫といった色彩で提示されるため、読者は昌澄と同じ視点で緊迫した心理戦を体験できます。
特に蝕毒の抜糸から一条の姫君の身分が明かされるまでの流れるような伏線回収は圧巻の一言に尽きます。
ただの敵国の姫という立場から春の国の筆頭家との血縁が証明される瞬間の鮮やかな炎の描写は、映像作品を見ているかのような臨場感がありました。
視点の切り替えも巧みであり、モブ女騎士の語りを通して五家の異常なハイスペックさを客観的に際立たせる構成など計算し尽くされた筆力に脱帽します。