最期の七日の晩餐。切なくも心温まるアラビア風物語


王殺しという大罪を犯し、七日後に死刑執行が決まっている罪人騎士。その食事を運ぶ看守の物語です。

死刑執行までの最後の七日間は、死刑囚であれ好きなディナーが注文できるしきたりが柱となり、物語がじっくり展開されていきます。その構成がシンプルかつ分かりやすく、さらにそのディナーによって罪人の想いや過去が次第に明らかになっていきます。


見事なのは、この最期の七日間のディナーという要素がこのゆるやかに死へと向かう暗闇を照らす希望の光であり、物語を一層彩っているという点です。
このしきたりが二人の心に小さな波をたて、過去の栄光や幸福を鮮明にさせる反面…もう元には戻らないという切なさを感じさせてくれます。


なぜジャウハラは罪を犯したのか?
看守サフラは彼の思いに触れ何を選択するのか?

ぜひ二人の七日間の世界を堪能していただきたいです。

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