渇いた胸、溺れさせる君

木場篤彦

第1話安心するけど、不安も伴う

 私はクラスメイトの女子から好かれていない。

 体育教諭の視線が痛い。

 私のクラスの女子は奇数で弾かれる。

「夏鈴ー、一緒に準備体操しよ?」

「うん、ありがとう……」

 屈託なく笑いながら、気兼ねなく誘ってくれる新倉に助けられる。

 私は新倉と彼女のクラスメイトの女子のもとに駆け寄る。

「ほんと、夏鈴のクラスメイト達冷たいよねー」

「うん、まぁ好かれてないから」

「たまには一緒にやってあげても良いじゃんね?」

 佐藤舞歌が空気をよんで援護してくれる。

「仕方ないって感じで……」

 こんな風に、新倉と佐藤のペアと準備体操を行うのが当たり前になってきた。


 体育の授業が終わり、教室に戻ってきた。


 空き教室に足を運んで、新倉虹華の姿に安堵する。

 新倉と友人になって、私は彼女と昼食を一緒に摂ることが当たり前になっていた。

「虹華……」

「なんでいつも泣きそうに呼ぶの?居るって」

 彼女に指摘されて、否定出来ない。

 私は彼女に駆け寄り、隣の席の机を彼女が座っている席の机にくっつけて、並んで昼食を食べる。


 放課後になると廊下で新倉と一緒になり、別れ道まで一緒に下校する。

 手を繋ぎたいけど、躊躇してしまう。そして、手を繋ぐことが出来ずに、別れが来てしまう。

「夏鈴、さよなら!また明日〜!」

「さよなら、虹華。また明日……」

 私と新倉のテンションは違う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る