今日の遺書
のりぬるのれん
とある日
窓ガラスの向こう。僕の姿は透けていて、その奥は不揃いな光が、左へ、左へと焦り走ってゆく。
今に鳴ってしまいそうな腹を心配しながら、ため息を外に落としてゆく。
あともう少しでテスト。分かってる。今単語帳を眺めたり、宿題を進めるべきなのだろう。でも、どうにも疲れがキツくてそういうことをする気にはなれなかった。
それでもまだ、今何もしない自分を責めてしまう。早くテストが終われば良いのに。でも早く来ても困るものである。
大学生になれば果たして楽になれるのだろうか。結局早く就職して…とか、定年になって…とか、そうやってずるずるとこの湿気の強い感触を捨てられずにいるのではないだろうか。
なんというか…こういうことを考えていると、ジェンガを少しずつ崩していってしまうように、いつかバタッと心が真っ暗になってしまうのではないかと怖くなる。
前に、14歳の子が自殺をした時の遺書に「楽しいままで終わりたいから。誰も悪くない。」と書いていた、というのをニュースで見た。今、未来に期待できる若者は数が減っているような気がする。それは湖に投げ入れた石の作る波紋のように広がっているように感じる。
仕事が嫌だという言葉は本音で、仕事が楽しいという言葉は嘘。そんなことを思っていた時期が自分にもあった…と思う。だからこそ、楽しく見せなければいけない職業には案外簡単に騙されるものだ。
人生について考えると、自分の人生が深くなったような気がしてしまう。そういう所も含めて浅いなと思う。
フラフラな考えを持った1人の高校生。まだマイペースに生きれるだろうか。いや、まだそうやって生きれているのだろうか。
今日の遺書 のりぬるのれん @norito0202
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。今日の遺書の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます