終劇『王と王妃の七人の騎士』
Side エミリア
事後処理というのは迅速に行われる。帝国の第一皇子は抵抗したが生け捕りとなり、帝国とは第一皇子の身柄と引き換えに不可侵条約を結ぶ形で決着した。その後、帝国では第二皇子が皇帝となり、都が堅牢な地形の森に遷都した。
対する我がサンチェス王国ではすぐに議会が開かれ、王弟殿下であったエドワード様の即位が決まった。前王は見るも無残に惨殺されていた。本当に帝国兵の所為なのかは謎のままだが。そして、前王に近かった貴族が多く粛清された。公爵家も一つ取り潰しとなったのだ。
一つ、揉めに揉めたのが、私の王妃への即位。しかし、これについては王の代わりに執務をしていたケルビー侯爵が断固として『王妃はエミリア様以外ありえない。彼女以外に王を支えられる人材など、この国にはいない!!』と議会で高らかに宣言され、エドワード様も私を望んでいる旨を伝え、そして私の即位が決まった。エレノアは私たち夫婦の娘となり、第一王女として王家に残ることも、この時に決まった。
私の二度目の結婚式もまた、揉めた。
国が疲弊して、尚且つ王都は復興の最中。そんな状態では結婚式もできないし、やる雰囲気でもない、と。
ところが思わぬところから反対の声が上がった。
長年、王妃が王の代わりに国を守っていたという噂が市民に広がり、国が結婚式を渋っている旨を知った市民たちは王城の周りを取り囲み、まさかの王と王妃の結婚式を要求した。これに驚いたのは議会で、そしてエドワード様の即位式と結婚式を同時に行うことが決定した。
即位式ではエドワード様の頭に王冠が。
私の頭上にティアラが。
そしてエレノアの頭上にもティアラが置かれる。
このティアラだが、今まで使っていたものを使用する気でいた。しかし、議会が前の時も新聞で取り上げられているのだから新しいものを作るべきだと主張した。最終的にレイラと私が被ったティアラはエレノアが引き継ぐこととなった。これは本人が「二人のお母様が被った素敵なものを私に下さらないの?」と議会にて笑顔で発言したことにより、その方向が固まり、私には新たなティアラが授けられた。
即位後の叙勲では多くの功労者が出た。
カーティス、ギャロンの二名には子爵位が送られた。
二人の功績を考えればもっと高い爵位を与えたいが、二人とも、そんなに高い爵位は要らないと、断った。まあ、貴族とはいえ次男や三男が個人で子爵位を受けるというのは破格の対応だとは理解している。
そして元々アーウィン子爵家を継ぐ予定であったギルベルトのアーウィン子爵家に伯爵位が送られた。アーウィン子爵家、もといアーウィン伯爵家はギルベルトだけでなく、下の妹二人も貢献したことによる待遇だが、アーウィン子爵は気の弱い人なのだろう、ブルブルと震えながら真っ青な顔で叙勲を受けていた。
そしてケルビー侯爵。彼は辺境から騎士団を王都まで導いた功績を称えられたが、本人が叙勲を辞退した。多分だが、権力を集中させないための措置であった。
国の復興がおおよそ終わった三年後。王都に新たにできた劇場である作品が公開される。その初演には王家、宰相家、アーウィン伯爵家、ベモート子爵家、ハンツ子爵家が特別招待された。
題材は『王と王妃の七人の騎士』。
“むかし、むかし。ある侯爵領に王子様が静養に来ました。
その王子様は大きな心の傷を負っていて、誰にも心を開きませんでした。
しかし侯爵家の家族は王子様を家族として扱いました。
とくに、三番目の娘は王子様に話しかけ続けました。”
「この三番目の娘って私かしら?」
クスリと笑いながら小声で問えば、隣に座るエドワード様は「多分ね。」と優しく答える。
“王子様はその侯爵家でどんどんと元気になっていきました。
しかし、残念なことに元気なるということは、王子様はお城に帰らないとなりません。
悲しみに暮れる三番目の娘に王子様は野原で集めた花束を差し出して言うのです。
『僕の花嫁になってください。』
と。三番目の娘はその花束を受け取って、笑うのです。
『大人になったら迎えに来てください。』
そうして二人は別れることとなるのです”
「この話、喋ったのかい?」
「そんなわけないわ、お兄さまでしょう、絶対。」
そんな私達の様子をエレノアがクスリと笑った。
“結婚適齢期を迎えた二人。
王子様は三番目の娘に婚約を申し込もうとしました。
ところが、不幸なことに王子様の兄である王様のお嫁さんが亡くなられたのです。小さな姫を遺して。”
「あ、これ私ね?」
ふふふ、と笑うエレノアにそっと笑いかける。
“亡くなった王妃様は三番目の娘の親友でした。
王子様は婚約の申し込みをすることなく、喪が明けるのを待ちました。
しかし、不幸にも三番目の娘に兄である王様が求婚してしまったのです!
嘆いてももう遅く、王子様は人知れず三番目の娘に会いに行きました。
『僕と一緒に逃げておくれ。』
『それは出来ないわ。幼い姫は私の親友の子供なの。守らないと。』
二人は泣く泣く別れる道を選びました。
そして王子様は危険な辺境の防衛に当たる道を選び、三番目の娘は王妃になりました。
三番目の娘が幸せならそれでいいと王子様は思っておりました。”
「私の結婚、ショックだった?」
「やけ酒をして、家令に怒られるくらいにはね。」
ケロっという彼の姿はちょっと拗ねているようだった。
“時は流れて、王子様は嫌な噂を聞きました。
王妃様が一人で国を守っている。王は何もしないで遊び惚けている、と。
王子様はその真相を聞きたくて、宰相様に話を聞きました。
宰相様は渋い顔をしながら答えます。
『王妃様が全ての仕事を肩代わりされております。私が助けられるものはほんの僅か。しかも王妃様には信頼できる護衛騎士が三人しかおりません。』
悲しげに話す宰相閣下に王子様の胸は痛くなります。
『私に何かできませんか?』
王子様は思わず言葉にしていました。すると宰相様は悩んだようにお願いしました。
『私と一緒に隣国の同盟を打診しに行ってください。』”
「ケルビー侯爵、あんな感じだったの?」
「いや、最初っから土下座みたいな感じで頼みに来たよ。宰相殿は頭を下げるぐらい何とも思わないらしいから。」
“王子様と宰相閣下は隣国に同盟の打診に向かいました。
その会談の途中、衝撃の事実を隣国の王様から告げられます。
王子様の国の王都が帝国軍に占領されていると。
王子様と宰相閣下は二手に分かれることにしました。
宰相閣下は約束します。
『必ず貴方の騎士たちを辺境から王都に連れていきます。ですから、王子も焦らずに確実に行動してください。』
王子様の熱意に、隣国の王様は少しだけ騎士を貸してくれました。
王子様は数少ない手勢を指揮して王都へ。
宰相閣下はたった一人で辺境へ向かいました。”
「あの時、本当に焦ったよ。君が捕らえられているんじゃないかって……最悪なことも考えたよ。」
「あの時は私も必死だったわ。」
懐かしむようにその劇を見ている。本当に大変だった。
“ところ変わって王城では帝国軍に囲まれた王妃様が不安そうに外を見つめました。
そしてそっと目を瞑り、王子様の姿を思い浮かべます。覚悟を決めた王妃様は
『このままでは国が滅びてしまいます。ですが希望はあります。騎士達よ、この王印と王剣、そして姫。3つの宝を王弟殿下に届けなさい。』
『必ずや』、と返事をしたのは三人の騎士と、二人の侍女でした。
その様子を見ていたのは宰相閣下の夫人でした。
彼女は覚悟を決めて、騎士たちにお願いをします。
『娘は馬に乗れます。連れて行ってください。何かあれば娘を囮に使っても構いません。』
その宰相夫人の言葉に宰相令嬢は強く頷きました。
彼女は両親に何があっても姫を守るように言われてきました。
『お母様、大丈夫ですわ。お父様とお母様の代わりに必ずこの国の宝を守りますわ』”
「リリアンには囮になんてなって欲しくはなかったの。リリアンだって幼い頃から見てきているのよ?でも貴女が迷い無く応えてくれたから、私、泣きそうだったわ。」
そう言いながらデビュー間近の令嬢に成長したリリアンは複雑そうに笑った。
「お義母様、リリアンの見せ場はこれからですわ!」
そう楽しそうに笑うエレノアにこちらも笑った。
“敵兵が城に流れ込んでくるのと同時に、姫たちは城を脱出したのです。
ですが、姫たちの不在はすぐに敵兵に伝わり、追手が放たれます。
必死で逃げる姫たち、もう寸前まで追手の馬の足音が聞こえてきています。
このままでは追い付かれてしまう。
誰もが諦めかけていたその瞬間、宰相の娘は意を決して馬の方向を変えました。
『私が姫です!追うなら私だけにしなさい!』
その行動に、一瞬誰もが唖然とした。けれどもその意図を理解した騎士二人は馬を同じ方向に向けました。
『姫様、諦めてはなりません!』
『そうです姫様、ここで置いていかれたら、騎士の名が廃ります。』
少し遅れて、侍女の一人も勇気を振り絞ってそちらに馬を走らせました。
『姫様、私も最後までお供しますわ!!』
大きな声で叫びながら侍女も向かうのでした。侍女が一緒でないのは不自然だと、戦いに慣れていない侍女は必死で馬を走らせます。
大勢の軍勢が宰相の娘たちの集団を追いかけていく。”
「あれ、帝国兵じゃなくて、ただの夜盗だったのよね。貴族の追い剝ぎしようとしていた。」
ちょっと不服そうに言うリリアンにマグリットはそっと頬を撫でた。リリアンは優し気なその視線に少しだけ安心しているようだった。
「それでも勇気を出して行動してくれた貴女が誇らしいわ。」
“静まり返ったその場に残されたのは姫と、騎士一人と、侍女一人だった。
『参りましょう、『お嬢様』。』
騎士は静かにそう言いました。今にも泣きだしそうな姫はそっと侍女を見ます。
彼女の眼には涙が浮かんでいました。
それも、そのはずです。
先ほど囮となった騎士の一人は兄、侍女は妹でした。
しかし、彼女は必死で食いしばっておりました。
だから、姫も泣くことはできませんでした。
無言のまま、三人は山を越えました。
真っ暗闇の空はだんだんと白さを、そして青さを取り戻していきます。
何故こんな日に空は晴れているのでしょう。
そんな姫の目の前に大軍が現れます。
姫は思わず泣き出しそうでした。その軍を率いていたのは姫の叔父。
つまりは王子様でした。
騎士と侍女は王子様に王印、王剣、そして姫の三つの宝を差し出しました。
『王妃様の命により、三つの宝をお届けに参りました。』
その言葉に王子様は覚悟を決めて剣を抜き、天に向かって掲げました。
『四つめの宝、王妃を奪還に行く!!』
その声に兵士たちは雄叫びを上げます。
誰もが知っていたのです、国を守っていたのが誰だったかを……。”
「この時にお義父様が真っ先にお義母様を奪還するように叫んだからね、私、人質だろうと待っていられたのよ。」
そう言いながらエレノアはレイラと瓜二つの笑顔を浮かべた。後日、オーウェン王国の指揮官であったオクレール公爵とその夫人が戦後処理と同盟の締結に我が国に来た際には、その時の気丈なエレノアの様子に胸を打たれる
“ところ変わって王城では帝国兵の右往左往する様子を王妃様が注意深く見ておりました。
『もしかしたら、帝国兵を混乱させることができるかもしれない。』
『ならば、王妃様、私もお供いたします。』
そう強く言い切った宰相夫人。
彼女の手には持ち慣れない剣が握られていました。
王妃様も短剣を握りしめて二人は逃げ出しました。
王妃様の目論見通り、敵兵は混乱して、兵士たちの統率が取れません。
王妃様は願いました。
この混乱に乗じて、我が国の兵士たちが来てくれるのを……。”
「あのケルビー夫人の役、絶対もっと剣術練習しないと叱られるよな?」
ぽつりと呟いたギルベルトの言葉に、ギャロンもエドワード様も頷いた。若干、男性陣は顔色が悪い。マグリットは笑うだけだったが。
“ですが、女性二人。
あっという間に囲まれて、絶対、絶命でした。
そんなときに王妃様は足がもつれて倒れてしまいます。
もうダメだ。
宰相夫人も、王妃様も諦めようとしました。
瞬間、一本の矢が敵兵をなぎ倒していきました。”
「良かったなギルベルト。お前の矢で八人ぐらい飛んでるぞ?」
「ありえないし、お前、目の前で見ただろうが……。」
「ああ、ギャロンから聞いているぞ?仕留めそこなって、国王陛下がとどめさしたって。」
嘗ての護衛騎士三人は笑いながらギルベルトをモデルとしたらしい弓使いの騎士を見ていた。確かに過剰表現かもしれないけれども、あの時助けたのは確かにギルベルトだった。
“王妃様は目の前の光景が信じられませんでした。
別れを選んでも、恋焦がれていた王子様が目の前に。
戦場ということも忘れて、二人は抱き合い、そして涙します。
王妃様は、王妃となってから初めて涙を流したのです。
『王弟殿下、王妃様を連れてすぐにお逃げください!!』
叫ぶような宰相夫人の言葉に、王子様は不敵に笑います。”
「あら、今度はケルビー侯爵の見せ場が来るわね?」
私が笑いながら言えば、ケルビー侯爵は少し恥ずかしそうに笑った。その父の顔を誇らしげに笑うリリアン。彼女にとっての英雄は父親なのは間違いないだろう。
“ところ変わって辺境領。宰相閣下は一人で馬を走らせていました。宰相閣下は、武芸が得意ではなく、何度も馬から落ちそうになりながらも辺境伯騎士団と王弟騎士団の詰め所に辿り着きました。
『どうやって王都に半日で行くというのですか!!』
王弟騎士団の団長はそう叫びました。
しかし、宰相閣下は気にもせずに、手紙を大量にしたためました。
王都に行くまでの領地の領主宛に書いた手紙。
それは関所を検査なしに通してくれ、という無理難題でした。
その手紙を早馬に持たせて先を走らせます。
宰相閣下はその手紙通りに動いてくれ、そう願いながら馬を走らせます。
王弟騎士団も、辺境伯騎士団も半信半疑で馬を走らせます。
『最初の関所だ!!』
先頭の騎士が叫びました。
そこで待っていたのは侯爵様と侯爵領の騎士団でした。
そう、その関所のある領地は王妃様のご実家でした。
『妹の危機というのに協力しないことがありましょうか?行きましょう!!』
高らかに叫ぶ侯爵様。
そして侯爵領の騎士団長は指さします。
『この先に道に迷わぬように兵士たちを配置しました。迷わないように、兵士たちのいる方向へお進みください。』
王弟騎士団、辺境伯騎士団、そして侯爵領騎士団は街道を止まることなく走り出します。
道を示す兵士たちは通り過ぎる騎士団に合流して次々に騎士は増えていきます。
次の領では兵士たちが足りないことを知った市民たちが手をつないで道を作ります。
大人も、子供も関係なく、王都へ続く道が人々によって作られているのです。”
「私、確かに武芸はあまり得意ではありませんが、あそこまで馬から落ちませんよ?」
恥ずかしそうにケルビー侯爵は笑った。気をそらすためにそのように誤魔化したが、その様子をマグリットもリリアンも微笑ましく見ていた。
確かに馬からは落ちていないだろうが、ケルビー侯爵は外遊用の一張羅をボロボロにしながら王都まで走ってきたのだ。
この王都までの早駆けは『ケルビー侯爵の早駆け』もしくは『宰相閣下の早駆け』として諸外国では知られる。多分だが、これは歴史書に載る偉業だと思っている。
ケルビー侯爵は王都までの道で協力してくれそうな領主で尚且つ最短距離を直ぐにはじき出して、そして早馬を駆けさせた。最初の関所に私の実家であるキャンベル侯爵領を選び、他も追従しやすいように領地と領主を選んだ。
兄は手紙が来た瞬間、すぐさま兵を召集し、そして街道に配備しつつ、騎士団が通ったら合流するように指示した。
その指示を見ていた隣の領の領主は同じ指示をし、尚且つ次の領に伝えた。その伝令を聞いた市民が国の一大事に何かできないかと動き出したのが、市民の『人の道』だった。市民たちが作ってくれた『人の道』は王都までの道を半日で走り切ることに成功させたのだ。
そして王都に着くころにはその騎士団は4万5千にまで膨れ上がっていた。
“市民たちはみな知っているのです。
この国を守ってくれているのが王妃様だったと。
その王妃様を助けるための兵を少しでも早く行けるように街道の邪魔なものを退かしたり、木を切ったり。
みんなやれることをしました。
騎士たちは、市民たちの自分たちの出来ることをやる姿に、自分たちの責務を果たそうと馬を走らせます。
そして、半日で王都へとたどり着き、城を包囲しました。
敵兵はあまりの大軍に戦意を喪うのでした。
城を取り戻した王子様は王妃様に子供の頃と同じ言葉を掛けました。
『僕の花嫁になってください。』
『私でよろしいのならば。』
二人の姿に誰もが涙を浮かべました。国と姫を守った王妃様に、やっと守ってくれる人が現れたのですから。”
「これは……ちょっと恥ずかしいかもね。」
エドワード様のつぶやきにその顔を覗き込めば、少し赤い顔になっていた。エドワード様は敵兵をすべて縛り上げてから急に跪いて私に求婚した。その瞬間、歓声が上がったが、私の返事が酷かった。
「……さすがに劇では『まだ離婚していないのですけれども……。』なんて言いませんね。」
これに対して皆が笑った。現実は劇のように綺麗には終わっていなかった。
“王様と王妃様には七人の騎士が居ります。
剣術の得意な二人の騎士
弓が得意な一人の騎士
知性の優れる宰相閣下
暖かく皆を支える宰相夫人
そして、勇敢な心を持つ二人の侍女
人にはいろんな戦い方があります。
王様と王妃様には、いろんな戦い方ができる七人の騎士が仕えているのです。”
この話は武力持つ者だけが騎士ではない、そう言われているような気がした。そうでなければサラやマリアが騎士に含まれることはないだろう。マグリットは騎士と言っても過言ではないかもしれないけれども。
劇が終わり、会場内が静まり返った。誰もが王家やこの七人の騎士のモデルがこの話をどう評価するのかを待っているのだろう。
エドワード様と私は笑い合って立ち上がり、そして拍手を送る。
続くようにエレノアとまだ二歳になったばかりの息子が、立ち上がり手を叩くような拍手を送る。
ケルビー侯爵夫妻とリリアンも立ち上がり拍手を送る。その隣には二歳になったばかりの男女の双子も笑っている。
この部屋で見ていた全員が立ち上がり拍手を送った瞬間、会場は歓声が上がった。
王家が、宰相家が、そして七人の騎士に数えられる全てが、この物語を認めたのだ。
『王と王妃の七人の騎士』はその後、多くの国と地域で公演された。実話をもとにしたというこの話は、私からすれば、事実のような、戯曲のような、そんな感じだ。
「ねえ、エドワード様。」
「どうしたんだい、エミリア?」
「この話、続編が出そうじゃありませんか?」
「そうだね、たくさん話が続きそうだ。」
拍手をしながら私たちは後ろを見た。カーティスはサラと、ギャロンはマリアとそれぞれ夫婦になった。ギルベルトは長年、婚約者としていた男爵令嬢と紆余曲折あったが夫婦になった。宰相家には新たな二つの命が生まれたし、私たちの元にも王子が生まれた。
そしてー。
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