架空戦記は好物なのですが、読むたびに身構えてしまう癖があります。どこで転生者が出てくるのか、どこで超兵器が生えてくるのか、と。
この作品は、どちらも出てきません。そして、ある程度軍艦に詳しくなった時、必ず達する仮想戦記。ミッドウェーと陸海共同。1942年からのやり直しです。
物語はミッドウェーで負けるところから始まります。飛龍の反撃は「MI作戦は中止」の一報で握りつぶされる。史実どおりの敗北、しかし変わったのはただ一点、飛龍が護衛をつけられて帰ってくること。山口多聞の生き残った世界線です。
IFへの分岐は「このままではいけない。陸海でいがみ合っている場合ではない」日米開戦を描く仮想戦記で一番ありえない奇跡、陸軍と海軍が情報を共有し、補給の取り決めを結ぶ。《合理化》です。海上護衛が強化されシーレーン確保と防御正面を縮小し内戦作戦へと突入していきます。
そしてようやく叶う陸海の共同戦線。兵器描写が光ります。私のような豚の清らかな兵器信仰が満たされていくのを感じます。
あぶじる先生は、概要で「都合の良いと感じる箇所」と書いておられますが、
豚の見立てでは、この作品の都合の良さは兵器ではなく、組織の側にあります。そしてそれは、仮想戦記が許されるなかで、一番清らかな都合の良さだと思います。
おすすめです。