第9話 星座
数日後の放課後。
昇降口で下校しようとしていた
「待って!やっぱりもう一度話したい!」
心春は少し驚きながらも、振り返った。
「……また勧誘?しつこいなぁ」
「光、あまり強引にしたら逆効果よ」
「でも……!」
「じゃあ、落ち着いて話そう。校舎裏でね」
校舎裏へ向かう途中、
「心春!腕相撲しようや!」
「えぇ……?今?」心春は苦笑。
平らな場所を見つけ本当に始める2人。
「うぉー!」
「ふっ……!」
結果は心春の勝ち。
「ぐぬぬ……根性が足りんのか!?」煉佳が地面に突っ伏す。
「いや、普通に力で負けただけやろw」
「相変わらずはしたないわね……」
そんな空気を和ませた後、全員は真剣な顔で心春を見つめた。
ひっそりとした夕焼けの陰で、心春は小さく呟く。
「中学のとき、バスケ部にいたんだ。エースとして……でも、推薦とか大人の事情で、純粋に楽しめんくなって。気づいたら辞めとった」
光も花も息をのむ。
心春は自嘲気味に笑った。
「やけんさ、また夢中になって挫折するのが怖いんよ。アイドルって、楽しそうやけど……本気になるのが怖い」
光は心春の手を取り真っ直ぐに見つめた。
「だから挑戦するとよ!失敗するかもしれんけど。でも、それでも一緒に夢中になれる仲間がおる!私たち、絶対一緒にやりたい!」
その言葉に、心春の胸の奥で、忘れていた熱がふつふつと蘇った。
「……光ちゃん、本当に元気やね。……でも、そんな熱さに、ちょっと憧れてたのかもしれんね」
そして笑みを浮かべ、はっきりと告げた。
「分かった!私もやるよ。本気で!」
「よっしゃー!!!」光は大声で叫び、花も嬉しそうに笑った。
見守っていた煉佳や莉愛、結衣たちも、安堵の笑みを浮かべる。
こうして、風間心春が正式に加入。
アスターはついに9人揃い、星座が完成する瞬間を迎えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます